【漫画】美ギャル化した友達からの7年ぶりの連絡は、怪しい勧誘ーー辛いはずのエッセイ漫画がなぜか優しい

制作しながら悲しみや疑問がわいた

——そもそも『友達から7年ぶりに連絡が来た話。』は実話でしょうか?

なかもと:ほぼほぼ実話です。実際の会話のディティールは完全に覚えているわけではありません。ただ、当時のメモが残っていたため、漫画にするにあたって相違がなかったかは見直しながら作成しました。特に勧誘内容に関する部分は、金融商品の仕組みの説明を知らない人にもわかるよう心がけ、その辺りの表現には時間をかけています。

――「みっちゃん」(※仮名)のことを思い出しながら描く必要があり、制作中は精神的な負担もあったかと思います。

なかもと:実際にみっちゃんから勧誘されたのは2年も前の出来事ではありますが、当時は勧誘とわかった時の悲しみや憤り、みっちゃんへの疑問など、いろいろな感情が溢れてきました。

――みっちゃんのことを考えていると、メンタルがぐちゃぐちゃになりそうですね。

なかもと:とはいえ、みっちゃんが嫌なやつと思われないよう、何度もセリフや表情を調整した思い出があります。

――ちなみに、みっちゃんから連絡が来て以降、数年ぶりに連絡をくれた友達はいましたか?

なかもと:幸い……なのかはわかりませんが、それ以降はそれらしい連絡は来ていません。逆に私から別の友人に数年ぶりに連絡をして、一緒に食事に行くなどはしました。ひょっとしたら警戒されていたかもしれません。

意外なSNSの反応とは?

――Xで大きな反響がありました。その中でも印象に残っているものはありますか?

なかもと:「作者が優しい」というコメントには驚きました。勧誘された時はみっちゃんに優しくしたつもりは全くなく、むしろ「言うべきことをきちんと言うべきだったのではないか?」と思っていたからです。また、「みっちゃんからその後連絡がないのは、勧誘目的でのみ声をかけてきたからでは?」という感想を見て正直少し凹みました(笑)。

――なかもとさんは本作のようなエッセイ漫画を投稿する傍ら、『ビターダイヤモンド』(白泉社)などのオリジナルの漫画も制作しています。エッセイ漫画とオリジナル漫画を制作することの共通点は何ですか?

なかもと:どちらの漫画も読者の読みやすさと視線誘導(ヒキなど)に気をつけています。連載中の漫画もスマホで読まれることが多く、コマ数や文字数をなるべく減らすことが大切です。また、エッセイ漫画はさらにコマ数が限られるのでより、無駄なくテンポ良くを心がけています。

――制作する側としてのエッセイ漫画の魅力はどういったところに感じていますか?

なかもと:商業漫画と違って作画に時間がかからず短期間で旬のテーマを制作できる点です。他にも、読者層を意識する必要がないため、伝えたいことをシンプルに表現できる点も魅力ではないでしょうか。

――最後にこれからはどういった作品を手がけていきたいですか?

なかもと:今まで重たいストーリーを考えることが多かったので、今後は表現の幅を広げていきたいです。まだまだ描いた経験がないこと、描ける自信がないこと、多々ありますが一つずつ丁寧に取り組んでいきます。

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