『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』大ヒットで忘れてはいけない、水木しげるが認めた伝説のコレクター、伊藤徹とは

■漫画文化を支えた、作者より作者に詳しいファン

日本の漫画文化は、こうした熱狂的なオタクたちによって下支えされていた。彼らは好きが高じすぎて、作品を研究しまくった。結果、作者よりも作者について詳しいファンが多数生まれることになったのである。具体的には、熱烈な手塚治虫ファンで手塚プロダクションに入り資料室長を務めた森晴路や、「高橋留美子ファンクラブ」を結成し、高橋留美子公認の『高橋留美子選集』を出した水谷誠(中井大輔)などはその筆頭格であろう。

  残念なことに、伊藤も、森も、水谷も既に亡くなっている。近年、オタクの多様化が進み、好きであることを公言できる風潮が生まれたのは非常に良いことだろう。ただ、伊藤徹のように作品や作者を深く研究するいにしえのタイプのオタクが希少になってしまったのは、少々残念である。

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