【書店ルポ】甲府駅、ジュンク堂、改造社が閉店の中、約7万冊の在庫くまざわ書店オープンで山梨県民歓喜

■書店空白地帯だった甲府駅前

  2023年9月29日、JR甲府駅の駅ビル「セレオ甲府」の4階に、約7万冊の書籍を揃えた「くまざわ書店」がオープンした。オープン当初は山梨県内で大きな話題になり、NHKや新聞各社が報じている。

    というのも、2023年1月にJR甲府駅周辺にあった書店が立て続けに閉店し、駅から徒歩数分の圏内に、新刊書店がまったくない状態が続いていたためである。「セレオ甲府」にあった「改造社書店甲府店」が1月22日に閉店、さらには市街地の岡島(旧岡島百貨店)にあった「ジュンク堂書店岡島甲府店」も1月31日に閉店してしまった。

JR甲府駅の駅ビル「セレオ甲府」。この4階に「くまざわ書店」がオープンした。手前にあるのは甲府駅前のシンボル、武田信玄像。
甲府駅前の風景。駅周辺には県庁や市役所などもある。
JR甲府駅前には、重要文化財の旧睦沢学校校舎や、丹下健三が設計した山梨文化会館などの名建築が並ぶ。甲府城の城門なども復元されるなど、再開発が進んでいる。

  特にジュンク堂の閉店は衝撃的な出来事だったようである。開業当時は蔵書の数が約80万冊と桁違いであり、甲府を代表する大型書店であったためだ。研究者の利用も多かったようで、記者の知人で山梨大学の関係者は、「大型書店がなくなると困る。ジュンク堂は専門書も充実しているのが強みだった。いったい本をどこで買えばいいのか」と困惑していた。

■百貨店の衰退を不安視する声も

  また、駅前で甲府市民に話を聞くと、高齢者の間では相次ぐ百貨店の閉店に伴う駅周辺の地盤沈下を危惧する声も大きいようである。JR甲府駅前にあった山交百貨店は2019年に閉店してしまった。前出の岡島は、2023年3月3日に複合商業施設「ココリ」に移転したが、規模を大幅に縮小してしまっている。移転先にジュンク堂は復活しなかったし、記者が訪れたのは日曜日の夕方だったが、「ココリ」周辺の人通りはまばらであった。

  この「ココリ」は、2010年の開業以来テナントの誘致に苦戦している。後にイオンが入店したものの、コロナ騒動真っただ中の2020年に撤退した。その前年には未来屋書店も閉店している。

  わずか数年前は大型書店が多数あった甲府の中心市街地だが、現在も営業を続ける新刊書店は、1918年に創業した「春光堂書店」くらいになってしまった。また、百貨店の規模縮小が地域経済に与える影響も少なくないはずである。

アーケードの中で営業を続ける「春光堂書店」。取材当日は日曜日だったため、残念ながらお休みだった。

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