コミケの時代が終わる? 賛否両論の原稿とファンの声から見えてきた日本最大の同人誌イベントの強み

コミケがもつ唯一無二の特性

  では、コミケはこのまま衰退していくのだろうか。記者は、その可能性は低いと見ている。依然として、コミケは日本最大の同人誌即売会であることは間違いないし、これほどのイベントを運営するノウハウは一朝一夕で習得できるものではないため、他のイベント事業者が真似するのは難しいためだ。

  長年、コミケに参加し、今回のコミケにも参加し続けている同人作家B氏は、コミケの将来についてこう語る。

 「あくまでも僕の感想だけれど、僕はコミケの来るもの拒まず去るもの追わずという自由な雰囲気が好きだから、ずっと参加しているんですよ。それに、お盆と年末年始という絶妙な時期に開催されているのもいい。この時期に合わせて同人誌を作るのが自分にとってのルーティーンになっているしから、気力が続く限り参加し続けると思っています」

 そして、あらゆるジャンルの同人誌を扱っている点こそが、コミケの真髄だと語る。

 「コミケほどあらゆるジャンルの同人誌が集う大規模なイベントって、他にないわけですからね。研究や評論などニッチなテーマを扱う同人サークルが、これほど集まっている同人イベントって、他にありますか? また、大学生の漫研のサークル数もコミケが圧倒的に多い。そういうニッチなサークルが、プロの同人作家や流行のサークルと同じ会場で同人誌を頒布しているって、凄いことですよ」

  大手サークルの行列や、コスプレ会場のコスプレイヤーばかりがマスコミではクローズアップされがちだ。しかし、空き時間を使って会場を散策し、「こんな本を出している人がいるんだ」という発見があるのが、コミケの醍醐味と話す人は多い。B氏はこう結論付ける。

 「特定のジャンルに特化したイベントは、そのジャンルが衰退するとイベントも消えてしまうことが多い。現に、過去には美少女ゲームのオンリーイベントで、結構規模が大きなものもたくさんありましたが、消えたものもたくさんあります。コミケの強みは、いい意味で雑多で何でもありな点で、時代に合わせて変化し続けている点。だから、そう簡単には衰退しないと思います」

 

 

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