【漫画】結婚の挨拶で彼の実家に行ったら予想外の反応が……WEB漫画『今日のきょうこさん』が面白い

ーーお義父さんの表情がすごく好きでした。本作を創作したきっかけは?

岸田夏子(以下、岸田):最近パートナーのご実家に結婚のあいさつに行きまして。親戚付き合いが苦手ですごく怖かったのですが、義理のご両親がすごくいい方で、楽しく過ごさせていただきました。その日のことを忘れたくないと思い、この経験を題材にした漫画を描こうと思いました。

 はじめはエッセイとして作品を描こうかと思ったのですが、フィクションの漫画として作品を描きたいと思い本作のような作品となりました。

 また作中で「岩をかついで川の底を歩く」というエピソードがありましたが、これは自分が子どもの頃にやっていた遊びでした。実際にあいさつの場でパートナーにその遊びのことを言われて、自分なりに背伸びしながらキチンとしていたのに、岩をかついでいた女の人という印象になってしまい……。その瞬間は恥ずかしかったのですが、御家族には笑ってもらえたのでよかったなと思い、作中でも同じエピソードを描きました。

ーーハイヒールをモチーフとして描いた背景は?

岸田:物語の最初と最後で主人公が変化していなければいけないと思い、わかりやすい変化のかたちとしてハイヒールを描こうと思いました。実際のあいさつでは、私はぺったんこの靴で行ったのですが……。ちなみにパートナーはTシャツと短パンだったので驚いたのですが、それがこの人のいいところだと思い、作中でも当時のことを描きました。

ーー恋愛要素とコメディ要素が入り混じる本作を描くなかで意識したことは?

岸田:『女の園の星』の和山やま先生が好きで、本作を描くなかで和山先生の作風を真似しようとしたものの、自分の絵柄から変えなきゃ無理だと思って……。自分は少女漫画を読んで育ってきたので、最後は男の子にかっこいいことを言うシーンにしたくて、本作のような結末になりました。そのためギャグ漫画に振り切れなかったのですが。

 また本作はページ数を少なくしたいと思っていたのですが、ページ数を削ったため漫画の間や余白をつくれなかったことが反省点です。

ーー本作を描くなかで印象に残っているシーンを教えてください。

岸田:岩をかついで遊んでいたことをパートナーに明かされたシーンです。このシーンを描きたいと思っていたので、ここでは他よりも大きいコマをつかいました。真面目でちゃんとしなければいけない場で、突然爆弾を落とされた感じにしたいと思っていたので、伝わっていたらうれしいです。

ーー実際の体験をエッセイ漫画ではなく、フィクションとして描こうと思った理由は?

岸田:エッセイ漫画よりも、創作漫画として完成させた方が今の自分にはいいなと思ったからです。これまで商業作家として活動してきたのですが、商業作品として求められることと、自分の描きたいことを天秤にかけながら漫画を描くことに悩んでいました。

 当時は何を描いたらいいか悩んでいたので、その突破口になればと思い、自分が面白いと思った出来事を人が読めるかたちにして世に出してみようと思いました。

ーー商業作家として作品を描く傍ら、本作のような短編作品を制作しSNSに投稿する背景を教えてください。

岸田:今はWeb媒体で連載するための準備として作品を描いているのですが、それだけでいっぱいになりたくないと思っています。思いついたことや描きたいことは新鮮なうちに出しておいた方がいいなと思い、また漫画を描く修行として、本作のような短編作品を制作しています。

 また、なるべく多くの人に自分の作品を見てもらって、少しでも好きだなと思ってもらえる人に漫画が届けばいいなと思いながら、SNSに投稿しています。

ーー今後の活動について教えてください。

岸田:漫画として描きたいものはたくさんあるのですが、まだ作品にできていないので、まずは描きたいものをかたちにして出したいです。

 また自分の漫画を多くの人に知ってもらえるように活動していきたいです。まずはこれから始まるWebでの連載を頑張りたいですが、とにかく作品を多産、たくさん生産していきたいです。

 日常の「アレ?」と思う瞬間を描くことが自分には合っていると思うので、恋愛となにかを掛け合わせた作品を中心に描いていきたいと思っています。

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