『伊集院静さんが好きすぎて』 三又又三さんと行く、聖地巡礼旅・なぎさホテル
三又:伊集院さんって、なんかいろんなものを引き寄せてくれる。 前にね、鶴岡八幡宮の近くにあるラーメン屋さんで伊集院さんの話をしたの。そしたらさ「僕、伊集院さんと子どもの頃キャッチボールしてるんです」と。 詳しく聞くとね、そのときに一緒にいた女性が夏目雅子さんで「世の中にこんな綺麗な女の人が居るんだ!」って思ったんだって。
澤井:当時の夏目雅子さんの映像を見ると、本当にお綺麗ですよね。 なぎさホテルを出てから同棲。しかし夏目さんは数カ月後には白血病になってしまう。それからおよそ200日間の闘病を共に過ごされていたんですよね……。僕の身近な死のことで言うと、コロナ禍の前に 2つ下の弟を山の遭難事故で亡くしたんです。
三又:はじめて澤井くんと話したとき、 僕は兄を亡くし、澤井君は弟を亡くした。 その話でギュッと距離が近くなったね。
澤井:弟は本当に山登りが好きだったんです。 その時も1人で南アルプスに行っていたんです。実家から弟が遭難したと電話がかかってきました。帰りに乗るはずのバスに乗れていないと。 テレビのニュースに弟の名前が出たとき頭の中が真っ白になりました。
三又:そうだったんだ……。
澤井:消防隊も最初は動いてくれるんですけど、 捜索には期限があって、それを超えてしまったら捜索隊を出すのに膨大なお金がかかるんです。 だから、遺体はまだ見つからないままなのですが、当時親も僕も心が潰れてしまいました。 そんな状況で手に取ったのがたまたま『なぎさホテル』で。 そこには、伊集院さんは弟さんを海難事故で亡くされている話が出てきて、僕と同じことを経験されていることを知ったんです。そのときからずっと伊集院さんの本に寄り添ってもらっている気がしてます。
三又:俺もだよ。伊集院さんの小説には、苦しい人たちに寄り添う力があるのよね。
澤井:この場所で話していると色んな情景が思い出されますね。
三又:最高のお盆ですよ。
澤井:そうですね。本当に今日はいい時間をありがとうございました。
その後、私と三又さんは話足りなかったので、伊集院静さんと夏目雅子さんが贔屓にされていた 『小花寿司』さんに足を延ばしたのでした。
以上、全て撮影:林昂歩
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