記事のスクショ投稿に警鐘 雑誌「ホビージャパン」のSNS投稿が反響「著作権・肖像権等を侵害するものです」
プラモデルやフィギュアなどホビー全般を扱う専門誌「ホビージャパン」が、8月28日に公式X(旧Twitter)を更新。雑誌の誌面を撮影し、SNSに投稿する行為に対して注意を喚起している。なお、このポストには現在約1.2万リポスト、約1.2万いいねがついており、大きな反響を呼んでいる。
ポストの内容は「ホビージャパン編集部からのお願い」と題したもので「雑誌 (電子版を含む) の誌面を撮影してブログやSNS 等に公開する行為が目立ちます。これらの行為は著作権・肖像権等を侵害するものです。場合によっては法的措置の対象となる可能性がありますのでご注意ください」と呼びかけた。
また、「撮影投稿OKなもの」として、雑誌の表紙や裏表紙、付録冊子の表紙や裏表紙、付録キットのパッケージ及びランナーや(素組み作例問わず) 完成品などを挙げている。そして、編集部または雑誌関係者がアップするオフショットに関しては「雑誌のプロモーション目的で公開しておりますので、こちらに関しましてはリポスト(リツイート) や引用は大歓迎です」とした。
近年、こうした雑誌の中身をXなどのSNSに投稿するユーザーが増加している。また、新聞の記事や社説、読者投稿欄などをスクショもしくは撮影して投稿している例も後を絶たない。言うまでもなく、これらは著作権の侵害である。こうした投稿はすぐに消えるものも多いが、インパクトある情報などはずっとネット上に残り続ける。
雑誌によってはかつて、誌面の写真を宣伝の一部として黙認する動きもあった。しかし、現役のある編集者によれば、こうした投稿が実際の購買に繋がる例はほとんどないといい、「SNSユーザーは情報をタダだと思う人が少なくない。かつてのように、お金を出して情報を手にしようという風潮が、ネット社会によって失われた」と嘆く。
また、書店でも雑誌の中身を無断で撮影する行為は、いわゆるデジタル万引きとして問題視されている。そして、デジタル万引きも、購入した雑誌の誌面のSNSへの投稿についても、悪気が無く行っているユーザーが多いと思われる。出版社がこうしたSNS社会がもたらした弊害について、注意喚起を行うのは異例だが、事態が深刻化している様子が浮き彫りになっている。
令和に入ってから、専門誌の休刊が相次いでいる。対するWEBのニュースメディアは、休刊した専門誌のかわりにはなり得ておらず、ニュースから専門性の高い情報が失われつつある。そんな中で、「ホビージャパン」のような濃密な情報を提供する雑誌が希少であるのは言うまでもない。
本当のファンであるなら、誌面の記事の一部を撮影しただけの断片的な情報で満足するのではなく、雑誌を買い求めて、編集部や出版社を支援するべきであろう。そして、繰り返しとなるが、雑誌 (電子版を含む) の誌面を撮影してブログやSNS に公開する行為はNGであると心得よう。