『よう実』アニメ第3期で注目、坂柳有栖のヤバさとは? シリーズ屈指の実力者の素顔

 もともと葛城康平とクラスで勢力を2分する実力者ではあったものの、健康に問題があって運動系の課題をパスせざるを得ないこともあり、脅威といった雰囲気は漂わせていなかった。もっとも、裏では葛城を密かに追い詰め失脚するような謀略をめぐらしていたから恐ろしい。そして第3期では、狙いを清隆に定めてさまざまな策謀を繰り出していく。

 どうして清隆に目を付けたのが。鍵となるのが坂柳の経歴だ。父親は高度育成高校の理事長で、その父親が清隆の父親と知り合いだったことから清隆の"正体"に誰よりも早く気がついた。もっとも、それで焦るどころか余裕を見せているところが大物だ。清隆が苛烈な教育プログラムの産物としてとてつもない実力の持ち主になったのに対し、自分は生まれながらの天才だといったプライドがあって、まったく負い目を抱かない。

 清隆の正体をバラして追い出そうともしない。それは清隆という存在へのある種の執着で、人工的に作り出された「天才」よりも、生まれながらの「天才」である自分の方が優れていることを、清隆につきつけて屈服させたいといった思いがあるからだ。そんな2人の緊張感に満ちた関係が、第3期のキービジュアル第1弾からしっかりと伺える。不敵な笑顔を見せる坂崎に対し、いつものようにつかみどころのない表情の清隆のどちらに軍配が上がるのか。そんな興味でアニメの第3期は見ていけるし、これから原作に向かう人も読んでいける。

 その戦いも実に山あり谷ありだ。同じ学年の全員が、誰が好きで誰が嫌いかを投票して、最も多くの批判を浴びた生徒が退学になるという逃げ場のないルールの特別試験で、坂柳の策謀が炸裂する。杖をついて歩く弱々しげな雰囲気の美少女が、その容姿と人心を操るテクニックを存分に振るえばいったい何が起こるのか。結果が気になるエピソードだ。

 1年次で最後となる試験で、清隆のクラスと坂柳のクラスがお互いに出し合った種目で争うことになった時も、「バスケットボール」や「フラッシュ暗算」といった種目の決め方に策略を混ぜ、最後の勝負では清隆を相手に直接対決に臨むことになる。その結果には、清隆を狙った別の謀略の手も伸びていて、続く2年生編で清隆を困らせると同時に、坂柳の清隆への執着も強めていくことになる。目を離せない部分だ。

 シリーズに登場する美少女キャラでも、坂柳有栖には突出したところがある。清隆と同じクラスで表向きはリーダーとして皆をまとめている堀北鈴音は、2年上の兄が生徒会長でありAクラスのリーダーでもあっただけに優れた資質を備えている。だが、生真面目なところがあって、清隆の助言がなければ裏切りもあれば買収だって行われる戦いにすんなりとは勝てない。B組を才能に加えて誰も見捨てないという優しさでまとめあげ、皆から頼られている一之瀬帆波も、坂柳の舌先で転がされている節がある。リーダーとして心許ない。

 その点、執念深い上に冷酷な性格を儚げでいたいけな容姿に隠して君臨する坂柳にだったら、付いていけばきっとAクラスのまま卒業へと導いてくれると信じたくなるが、そんな忠誠心ですら利用して、自分のプライドを満たそうとするところもあるだけに恐ろしい。そんな坂柳を相手に清隆は、最後まで高度育成高校での学生生活をまっとうできるのか。原作のこれからの展開が気になって仕方がない。

 その原作は、2年生編に入って2学期の終わりまで進んでいるが、そこへと至る大きな関門となる1年次の3学期における清隆と坂崎の激突を、まずはアニメの第3期でしっかりと見定めよう。

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