アニメ『シンデュアリティ』は既視感の中にもビジュアル面で光るものアリ! 大型メディアミックスは成功するか

 まず、初回から数多く登場した劇中のメカ、クレイドルコフィンである。どの機体もシェル状のコクピットの後方に棺桶型のメイガス搭載スペースがあり、基本的には全機が複座という点がまず目を引く。そしてその複座型コクピットから直接手足が生えたような形状になっており、上半身のボリュームに対して下半身がグッと小さいトップヘビーなバランスでまとまっている。デフォルメされたようなデザインだが、これが劇中では普通なのだ。

 各機体の色使いもポップで、グラフィティを取り入れたペイントもなかなかサグな雰囲気。ルール無用でエンダーズと戦い、自由に資源採掘をして報酬を手に入れるという、ドリフターのアウトロー感が機体のデザインに落とし込まれている。この辺りはスポーツブランドの広告も手がけた経験を持つメカデザイナー、刑部一平氏のセンスだろう。ガンダムシリーズなど縛りが多いタイトルではなく、ある程度以上自由に暴れられるタイトルならではの仕事ぶりだと思う。今後もどんなメカが出てくるのか、素直に楽しみである。

 同様に、ロックタウン内の風景や食物なども「おっ!?」と思わせるものがあった。サイバーパンクっぽいというか、擦られすぎてむしろ歌舞伎町タワー感が出てしまっている市街地や酒場の様子は、こういうものとわかっていてもワクワクする。あと、強烈だったのは作中に出てくる3Dプリンター製の寿司である。思ったより押し寿司っぽいルックで、「寿司ってここまで抽象化しても意外に寿司に見えるな……」という発見があった。こういった美術面に関しても、今後面白いビジュアルが出てきてくれると嬉しい。

 というわけで、どこかで見たことがある要素とちょっと「おお!?」と思わせる要素がブレンドされた『シンデュアリティ』。大型メディアミックスが成功するかどうかはわからない(逆に言えば、多少スベっても何度も企画を仕込んで投入できるのがバンダイという会社のすごいところでもある)が、面白い点が多々あったのも事実。何より安定感のある王道冒険譚っぽいので、ひとまずデイジーオーガのプラモを作りつつ次回を待ちたい。

関連記事