綾野剛主演で話題『カラオケ行こ!』の注目ポイントは? 原作漫画の魅力を読み解く

 映画『カラオケ行こ!』のPVが6月6日に初公開され、2024年正月に劇場公開されることが発表された。原作は同名漫画であり、作者は『女の園の星』などの作品で知られる和山やまだ。

 人気作家の手掛けた作品の映画化、そして綾野剛が主演を務めることから本作は大きな注目を集めている。本稿では原作漫画の内容を振り返りながら映画化への期待を述べたい。

『女の園の星』を彷彿とさせるユーモア

 合唱部に所属する中学3年生の男子生徒・岡聡実。梅雨の時期に彼はヤクザ・成田狂児と出会い、カラオケ店へ連れ込まれてしまう。狂児の狙いは合唱部の聡実に歌のコーチングをしてもらうこと。組総出のカラオケ大会で失態を犯さないために、狂児は聡実と一緒にカラオケで過ごす日々を重ねる。

 本作は2020年にKADOKAWAより刊行された作品であるが、もともとは和山やまが同人誌即売会「コミティア」で販売した作品であった。しかしコミティアでは即完売し、たちまち話題となったことから単行本として出版されたという経緯が存在する。単行本の出版後も「このマンガがすごい! 2021」オンナ編にランクインするなど、高い評価を得てきた。

 2024年に満を持して映画化される本作であるが、初公開された映像では雷鳴がとどろくなか聡実と狂児が出会うシーンが映された。物々しい雰囲気が漂う予告映像であるものの、原作漫画では『女の園の星』を彷彿とさせるユーモラスなシーンが多く描かれる。

 とあることがきっかけとなり狂児とケンカをしてしまった聡実。いつもは大人しい聡実が涙を流すほど激怒したものの、ひとり歩く帰り道で聡実は反省し、狂児に謝ろうとする。そんなときに狂児から、顔文字とともに「さとみくん(中略)キレると急に口悪くなるのフリーザみたいやな」というメッセージが届き、聡実は呆れ顔を浮かべた。

 作中に親しみの深い顔文字が登場する点からも、登場人物の台詞に顔文字が登場する『女の園の星』を想起してしまう。多くの読者を魅了し虜にしてきた和山やまの独特な世界観は、本作においてもたしかに存在しているといえるだろう。

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