【5月のライトノベル最新動向】最強の兄が見せる活躍ぶりが愉快な人気シリーズ最新作&ギャル相手のラブコメに注目

 読書にワクワクしたいけれどハラハラはしたくない人が選んで最適な作品が、富士見ファンタジア文庫から刊行中のラマンおいどん「妹が女騎士学園に入学したらなぜか救国の英雄になりました。ぼくが。」シリーズだ。妹のスズハが王国騎士を育成する女学園に入学し、ユズリハという学園最強の生徒会長と手合わせしたら負けてしまい、捨て台詞で自分より兄の方が強いと言ってしまったからさあ大変。ユズリハが家まで乗り込んで来て、スズハ兄と手合わせしたいと言い出した。

 分かりましたと相手をするスズハ兄。ところが、ユズリハの城門をもぶち壊す必殺パンチを顔面に受けても、平気な顔で立っていたので今度はユズリハが驚いた。ありとあらゆる技を繰り出しても微動だにしないスズハ兄を最強と認めたユズリハは、父親のサクラギ公爵とも話してスズハ兄とスズハを味方に引き入れ、王国の第一王女ながら王位には遠かったトーコを盛り立てて、崩壊の危機にあった国を建て直していく。

 まさに救国の英雄。それでいて本人には強いという認識がまったくないスズハ兄は、暴れ回るモンスターをあっさり倒し、闇の世界で恐れられている暗殺者を退けご主人様と慕われてしまう。隣国の女大公もスズハ兄の噂を聞きつけ、どのような男かと確かめに身分を偽り文官として近づく。そうやって大勢の人たちを政治家も商人も美少女たちも惹きつけていくスズハ兄のストレスフリーの活躍ぶりは、5月19日発売の最新刊『妹が女騎士学園に入学したらなぜか救国の英雄になりました。ぼくが。3』にもきっと満載。無自覚での無双ぶりにスカッとしよう。

 苦労は山ほどするものの、最後はどうにかしてしまう上条当麻のヒーローぶりにスッキリとさせられる鎌池和馬の「とある魔術の禁書目録」シリーズにも、新刊『創約 とある魔術の禁書目録8』が5月10日に電撃文庫から登場。「悪意の化身」というアンナをうっかり庇ってしまい、かつてないピンチに見舞われていた当麻の前に強大過ぎる3つの"脅威"が立ちふさがるが、苛烈な戦いを強いられながらもしっかりと収束させてくれるだろう。

 同じように圧倒的な強さが魅力の司波達也を主人公にした佐島勤「魔法科高校の劣等生」シリーズは、『続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー(6)』が電撃文庫から5月10日に発売。封印されている遺物をめぐって敵の勢力との戦いを繰りながら、古代文明「シャンバラ」につながる道を達也たちはたどっていく。「とある」シリーズと並ぶ電撃文庫の看板シリーズの同時刊行となるだけに、発売されたらランキングの上位を占めてしばらく突っ走りそうだ。

 新作では、「ゴブリンスレイヤー」シリーズの蝸牛くもがGA文庫から『モスクワ2160』を5月26日に刊行。アメリカ合衆国とソビエト連邦の冷戦が終わらないまま時間が経った近未来のモスクワを舞台に、《掃除屋》ダニーラ・クラギンの活動を描く。

 星海社FICTIONからは、「幻想書店で珈琲を」シリーズなどを書いている蒼月海里による『終末惑星ふたり旅』が5月16日に刊行。巨大な隕石が落下して多くの生命が失われた惑星で、自然現象を司る竜の記憶が封印された石を探して女性学者が少女と旅をする。

 電撃文庫から5月10日発売の谷山走太『終末世界のプレアデス 星屑少女と星斬少年』にも"終末"という文字が踊る。こちらは、空から落ちて来た星屑獣と呼ばれる怪物によって地上を奪われた人類が、空に浮かぶ島に暮らすようになった世界が舞台。リュートという名の少年がカリナという少女と出会い、星屑獣の核から作られた星輝剣をふるって戦う。カリナにはどうも秘密がありそうで……。ボーイミーツガールから始まるバトルファンタジーを楽しめそうだ。

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