ビビる大木、Aマッソ・加納、ヒロコヒー……芸人はなぜ本が好き? 「読書芸人」が今注目されるわけ

 テレビ朝日系のバラエティ番組「アメトーーク! 」の中でも特に人気の高いのが「本屋で読書芸人」だ。過去4回の放送と同様に今回も反響は非常に大きく、書店で番組の特集棚が設置されたり、ツイッターで「読書芸人」がトレンドキーワードになっている。

 今回集結した本好き芸人は、ビビる大木、Aマッソ・加納、ヒコロヒー、ラランド・ニシダ、カモシダせぶん。各々が自身の本棚の映像を公開しながら、その読書遍歴やおすすめ本について熱く語り合った。

 芸人たちは本のもっとも魅力的な要素を抽出することに長けている。そこにトークの引きの強さが加わって、視聴者を魅了するのだろう。小説家としても活躍するAマッソ・加納は、大城文章(チャンス大城)の『僕の心臓は右にある』について「芸人のエッセイ本を結構読みましたが、群を抜いて面白い」「とにかくエピソードがえぐすぎる」「中にも若干いい話がある」と絶賛する。

 文学好きで年間100冊以上を読むというラランド・ニシダは、注目の新刊小説のユニークな設定に着目。遠野遥の小説『教育』は、1日3回のオーガズムに達することを推奨する学校が舞台であることを紹介すると、他の出演者は困惑しながらも興味を示す。今村夏子の小説『とんこつQ&A』については「とんこつという中華料理屋さんで働き始めるんですけど、あまり接客がうまくできないから、メモをいっぱい書くんです」「主人公の接客・手作りマニュアルを一冊にまとめたもの」「これも素晴らしく良かった」などとその魅力を存分に解説した。

 芸人ならではのボケとツッコミが絶妙なリズムとテンポを生み出す。ヒコロヒーの紹介した『宇宙人と出会う前に読む本 全宇宙で共通の教養を身につけよう』(高水裕一)は、書籍のデイリーランキングでも急上昇するなど、特に注目を集めた。ヒコロヒーがそのユニークなタイトルを読み上げると、蛍原がすかさず「え、出会えんの?」と抜群の合いの手を入れるなどしながら、キャッチーに紹介していった。

 学生時代に全然勉強をしていなかったというヒコロヒーは、科学の本を読んでみようと思い立って手に取ったそうだが、「めちゃくちゃ良かった」「めっちゃおもしろい」と称賛。宇宙人から質問されて答えるというユニークな設定で、世界にまつわる科学の知識を教えてくれると解説する。同時にヒコロヒーは「書いているほうも設定がめっちゃおもろいんちゃう?と思ってそう」とツッコミを入れながら、そうしたところも含めて「茶目っ気もあって手に取りやすい」と紹介した。

 一見アカデミックで堅く見える本でも、芸人たちが紹介すると途端に手に取ってみたくなる。常にネタを探すなかで本をチェックし、同時に笑いについて誰よりもシビアな批評眼のある彼らが勧めるのだから、そのおもしろさは保証されているように思えるのだ。芸人がキュレーターとして、マニアな書籍にも陽の目を向けさせる影響力は、絶大なものだと言えるだろう。

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