【ウェブ漫画】ニックネームは白雪姫、みんな私に夢中だと思っていたのに……“あざとい女”の光と闇

 かつて「ぶりっ子」はよく使われるワードだったが、今はあまり耳にすることがない。それでもかわいらしさを象徴する「ぶりっ子」の意味を知らない人は少ないのではないだろうか。

 たとえばピッコマなどのコミックアプリで、数話無料で読むことができ、一部のコミックアプリでは人気上位にランクインしている『みんな私のこと「かわいい」って言ってくれるけど本命にはしてくれないね?』の中心人物・白雪は「ぶりっ子」そのものだ。

 白雪は、自分の勤務先の男性社員に対しては見た目と性格の可愛らしさを演出しているため「白雪姫」と呼ばれている。一方で彼女から仕事を押し付けられたりマウントをとられたりする女性社員は白雪に「あざと姫」というニックネームをつけている。

 序盤の白雪は男性たちを自分に惹きつけ、ほかの女性に面倒なことを押しつけることで順調な人生を送っている。しかし白雪のその後の運命は漫画のタイトルを見れば明らかだ。

 あざと姫のあざとさを見抜く男性もいれば、異性に好かれている姿を見て彼女を「都合のいい女」扱いする男性もいる。白雪のことを本命だと思い大事にしようとしていても、白雪が相手のことを「都合のいい男」と思って陰でバカにしていると、遅かれ早かれその気持ちは相手にも伝わる。

 本作は恋愛ヒエラルキーの頂点にいると自負していた白雪が、可愛いだけではうまくいかない現実にぶつかる物語なのだ。

自分も「あざと姫」だったかもしれない

 どんなに可愛くて男性人気があっても、都合の良い女扱いをされることはある。本命ではない男性を自分の持ち物のように思っていると、とんでもないしっぺ返しがくる。

 これは、筆者自身が20代前半のときに実感したことである。

 若くて男性に人気があると自覚すると、「すべての男性が振り向いてくれる」「好きな人は絶対に自分を本命にしてくれる」と勘違いしてしまう。

 好きではない男性は呼んだらすぐに来てくれる遊び相手にする、もしくは「男友達」にカテゴライズして、暇な時、寂しい時に呼び出し、タイミングが良ければ「彼氏」に昇格させる。

 一方、本命に対してはとことん「男性が好きそうな女性」を演じぬく。いま振り返ると、そのどちらも不毛なことだった。

 本命は可愛い女性と遊びたいと思っているが、そういった女性を本命にするとは限らないし、都合の良い遊び相手や男友だちは遅かれ早かれ自分が利用されていることに気づく。それがわからなかったのは、経験不足、そして若さと可愛さが何よりもの武器になると考えていたからだ。そう、23歳くらいのころの私は無知だったのだ。女性の目には私も白雪のような「あざと姫」として映っていたのかもしれない。

 だからこそ私は、気づけばカタルシスを得るためにというより、ひやひやしながら白雪の行動を見ていた。

 序盤、職場のアイドル的存在であり、ほかの女性社員を見下していた白雪が最初に現実を知ったのは、同僚女性の合コンに無理やり参加させてもらったときだった。彼女はルックスの良い久遠という男性をターゲットにするのだが、本作に登場する男性の中では初めて久遠が白雪の本性を見抜く。

 以前、SNSでデートにはどのような場所が良いかが話題になったのを覚えている人はいるだろうか。安い店はありえない派と安い店でも心がこもっていれば良い派に分かれたのだ。

 どうやら白雪は前者らしい。

 コスパの良い店でのデートをバカにする発言をした瞬間、久遠は冷たい眼差しで白雪に送り、彼女のことをこう表現する。

「勘違いして自分の価格設定だけが高い女」

 白雪の本質を言い当てたセリフである。その後、白雪は久遠の言葉どおりの人物だということを、女性だけではなく男性たちにも示すことになる。

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