【ONE PIECE考察】数ある名勝負の中でのベストバウトは? ワンピース研究家に聞く

※本記事は本誌最新話の内容に触れる部分があります。

 単行本は105巻が発売され、長い歴史で数々の手に汗握るバトルが描かれた『ONE PIECE』。ルフィの戦いはもちろん、クルーの激闘が目に焼きついている読者も多いだろう。

 そこで今回は、ワンピース研究家である神木健児氏に名バトルが並ぶ本作のベストバウト4つを選んでもらった。

モンキー・D・ルフィvsロブ・ルッチ

「最初に思い浮かぶベストバウトは、CP9編から『ルフィvsルッチ』ですね。CP9と戦うまでのルフィは、とにかくがむしゃらに敵を倒すという感じでした。しかしCP9編では、初めて明確なレベルアップが描かれたんです。ギア2(セカンド)が出てきたときは、心が震えましたよね。最後に勝負を決めた『JET 銃乱打(ジェット ガトリング)』の、すべてを振り絞って拳を突き出す描写もいいです。最後の『JET 銃乱打』の間、断片的にロビンをめぐる回想シーンが入るんですよ。それがすべてを掻っ攫ってく一撃って感じがして、カッコいいんです。悪い奴をやっつけるってよりも、ロビンを救うために戦っているのがカタルシスを感じられて良かったなと思いました。また途中のフランキーも一緒にいるシーンで、技名もないガチの肉弾戦を繰り広げる場面もルフィらしくて迫力があります。最新章で描かれた拳をぶつける描写のセルフオマージュはもちろん熱いですし、相当な長編作品である『ONE PIECE』ならではの魅力です。ルフィとルッチのバトルは、やっぱり歴史に名を残す名勝負だと思います」

ロロノア・ゾロvsMr.1(ダズ・ボーネス)

「レベルアップ感で言うと、触れずにはいられないのが『ゾロvsMr.1』だと思います。バロックワークスと麦わらの一味の戦いを描いた、アラバスタ編での一戦です。この戦いは、なんと言ってもゾロの『獅子歌歌(ししソンソン)』がカッコよすぎるんですよね。いまだにゾロで1番好きな技はと聞かれたら、『獅子歌歌』と答えるかもしれません。この戦いはゾロが明らかにパワーアップした、重要なバトルです。読者ながらにMr.1の強さに絶望し、もうこれ本当に勝てないだろと思わされた中での進化だったので、めちゃくちゃ興奮しました。もちろんピーカ戦やキング戦も好きです。ただゾロは意外と頭で色々と考えながら戦うシーンが多くて、Mr.1戦はその戦い方の走りであり代表な気がします」

ウソップvsシュガー&トレーボル

「『ウソップvsシュガー&トレーボル』は、めちゃくちゃウソップっぽい戦い方なのが大好きです。自分には力がないとわかっているけど、トンタッタ族を見捨てられないのもあり吹っ切れて守る。ボロボロになりながらチャンスを見出して、偶然もあり勝利をもぎ取る感じが、ウソップらしくかつウソップにしかできない戦い方ですよね。その後の『蓑虫星(バグワーム)』で遠くからシュガーを気絶させるシーンも、最高です。ドレスローザ編は、ウソップが1番カッコいいと言ってもいいのではないでしょうか。ウソップは麦わらの一味の誰よりも、私たちに近い存在だと思います。そんな彼が強敵に立ち向かう姿は、やはり魅力的です」

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