【ライトノベル最新動向】「お隣の天使様」全巻が50位以内にズラリ あり得ない恋への期待を誘って人気爆発か?
ランキングの1位は2月25日発売予定の日向夏による人気シリーズ最新刊『薬屋のひとりごと13』(ヒーロー文庫)。西都で繰り広げられた領主家のお家騒動をくぐりぬけた薬師の猫猫と、彼女が仕える壬氏が中央へと戻っていよいよふたりの関係に迫る物語が繰り広げられるのか。想像をかき立てられる最新刊だ。
2位は佐島勤による「魔法科シリーズ」の中の『新・魔法科高校の劣等生 キグナスの乙女たち(5)』(電撃文庫)で、司波達也や深雪といったシリーズの主人公たちが卒業した後の魔法科高校で繰り広げられる乙女たちの、高みを目指しての精進が引き続き綴られる。3位も衣笠彰梧の『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編9』(MF文庫J)とシリーズ最新刊がトップ3に並んだ。
第29回電撃小説大賞の受賞作品では、《大賞》の榛名丼『レプリカだって、恋をする。』(電撃文庫)が34位で《金賞》の彩月レイ『勇者症候群』(電撃文庫)が37位と健闘した。『レプリカだって、恋をする。』は、愛川素直がテストを受けるのがイヤだったり、体調が悪かったりする日に呼びだされるレプリカの少女の物語。現実的な解釈なら同じ肉体を別の人格が使っているといった状況が考えられるが、そう簡単に割り切れない不思議さがあって引き込まれる。レプリカとは何か。どうして存在しているのか。生きづらい社会を生き抜いていくための道標を示してくれる作品だ。
『勇者症候群』(電撃文庫)は、異世界に転生して勇者となってモンスターを倒し始めた自分は実は……といった展開からの裏返りがユニークで、佐藤真登の「処刑少女の生きる道」シリーズに描かれた転生者への扱いに通じる驚きを感じさせてくれる。「勇者」が生まれる時に側にいる女神とは何ものなのか、「勇者」たちを作りだして何をしようとしているのか等々の疑問の先にある展開に期待してしまう。