『東京卍リベンジャーズ』最新29巻 過去最大級の熱量の中、驚くべきあの漢が登場

 8月17日、和久井健の大ヒット作、『東京卍リベンジャーズ』(講談社)の最新巻(29巻)が発売された。オビに記載されている情報によると、現在、同作の世界累計発行部数は6500万部を突破しており、そのうち海外18か国での発行部数は700万部とのこと。実に驚くべき数字だと思うが、すでに物語は「最終章」に入っており、このまま多くのファンが納得のいくような“大団円”を迎えられれば、(そして、テレビアニメ版の第2期と実写映画版の続編という“援護射撃”が加われば)1億部突破も夢ではないだろう。

敵側の異才が味方につくというカタルシス

 さて、その『東京卍リベンジャーズ』29巻――なんというか、(もともと熱い漫画ではあったが)ここに来てものすごい熱量である。
 物語は、前巻から続いて、花垣武道(タケミチ)率いる二代目東京卍會と、佐野万次郎(マイキー)率いる関東卍會の抗争が描かれているのだが、強者(つわもの)同士の壮絶な戦いが進んでいくなか、後者のメンバーから、タケミチの側につく人間が2人出てくる。

※以下、ネタバレあり。

 まずは、“ココ”こと九井一が、旧友・乾青宗を守るため、関東卍會を離脱する。それは、(乾との友情だけでなく)彼がずっと想い続けていたある女性を忘れ、一歩前に踏み出すための決断でもあった。

 強敵中の強敵――初代黒龍(ブラックドラゴン)の“生きる伝説”2人を前にして、乾はいう。「ほんとにいいのか? ココ こっちに来たら“負け馬”だぜ」

 その言葉に対して、ココはこう答える。「それに乗るのが“親友(マブ)”だろ!?」

 そして、鶴蝶(カクチョー)――。タケミチとタイマンを張っていた彼だったが、列車を用いた三途(サンズ)の恐ろしい企てを知り、それを防ぐためにタケミチと共闘することに。そこから先の展開を書くのはやめておくが、幼い頃に事故で家族を失い、ひとりで生きていくことを誓った彼が、“誰か”のために命を賭して戦う姿は感動的である。

二代目東京卍會陸番隊隊長は想定外の人物!?

 とはいえ、だ。

 こうしたココと鶴蝶の“決断”は、これまで『東京卍リベンジャーズ』を読んできた多くの読者にとっては想定内の展開、といえなくもないだろう。

 だが、この29巻の終盤、驚くべき漢(おとこ)が、二代目東京卍會の陸番隊隊長として登場するのだ。それは、かつて“最強の敵”としてタケミチたちの前に立ちはだかった“あの漢”であり、その鬼神のような姿を見たココは、「コイツまで動かすか 花垣武道!!」と驚く。

 いずれにせよ、“過去の強敵が主人公の味方になる”――あるいは、“敵側の異才が力を貸してくれる”という展開は、面白い少年漫画のパターンの1つであり、その“面白さ”が、この29巻にはふんだんに詰め込まれているといっていいだろう。次の巻では、また別の形の“嵐”が巻き起こるはずだが、とりあえずこの巻では、花垣武道の男気に引き寄せられた“かつてのライバル”たちの勇姿に、胸を熱くしていただきたい。

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