あばれる君「冒険をしている時に月を見ちゃいけない」 サバイバル生活で気付いた未知の感情とは?

『ぜったいに生き残れ! あばれる君のすぐに使えるサバイバル大全』(講談社)

 「あばれる君」という名前を聞いて、「サバイバル」というワードを思い浮かべる人も多いのではないだろうか。昨今も『アイ・アム・冒険少年』(TBS系)内コーナー「脱出島」や「あばれる君の森林サバイバル」などにチャレンジしており、より一層サバイバルのイメージが強くなった。そんな彼が持つサバイバル知識を詰め込んだ著書『ぜったいに生き残れ! あばれる君のすぐに使えるサバイバル大全』(講談社)が8月10日に刊行される。そこで、著書についてはもちろん、サバイバル知識の活かし方やこれまでのサバイバル経験についてなど、本人にじっくり語ってもらった。(高橋梓)

サバイバル技術は番組に出始めてから


――新刊の発売、おめでとうございます。

あばれる君:ありがとうございます。講談社さんの手助けでここまで来ました!

――さっそく拝見したのですが、子どもでも読みやすい内容になっていますね。

あばれる君:子どもに伝わりやすい言葉遣いという部分は講談社さんがサポートしてくださったんですが、写真やイラストをたくさん使って目で見てわかりやすいものを意識しました。“森の攻略本”みたいなイメージですね。ゲームの攻略本も開くとワクワクするじゃないですか。そういう気持ちになれるような仕上がりになったと思います。

――たしかに写真の点数もかなり多いです。制作中の苦労も多かったのでは?

あばれる君:本の中で竹飯盒をやっているんですよね。99%は上手くいくんですが、1%くらいの確率で燃えちゃうこともあるんです。ロケの時間が足りなくて、絶対に失敗できない中でやったのはプレッシャーでしたね。

――著書の中身をよく見ると、子どもでも理解できるようになっているとは言え、かなり細かい技術が詰まっています。

あばれる君:実は親目線でもあるんですよ。やっぱり夏なので、外遊びも増えるじゃないですか。親子で一緒に楽しんでほしいという気持ちもありました。

――そういった具体的な技術を身につけたのは、やはり高校時代の山岳部の時なのでしょうか?

あばれる君:山岳部では料理の作り方、テントの立て方、天気図の書き方、天気記号などを覚えました。あとは、「山に傘雲がかかったら雨が降る」とか「燕が低く飛んだら雨が降る」とか先生のお話から覚えたこともあります。ただ、サバイバル技術は番組に出始めてからですね。

――そうだったのですね。

あばれる君:サバイバルが始まるまでは、普通にネタを作って芸人として売れようと思っていて。ネタを作るだけでなく、何かプラスαのことをしないといけないなと考えていた時に出会ったのがサバイバルだったんです。最初は体が張れる芸人として選ばれて、3泊4日で40℃以上にもなるフィリピンに行ったのですが、そこで真剣にやったら世間にちょっと響き出したんですよ。それで「これでなら芸能界もサバイバルできるかも」、と。出演回数が増えていくと、「冒険少年見てます」と言っていただけることも増えていったんですが、そうすると「本物に近づきたい」って思うじゃないですか。アドバイザーの方もいらっしゃったし、「もっと成長したい」と色んなことを学んで今に至ります。

――サバイバル企画にチャレンジすることで周りの反応が変わった、と。

あばれる君:声を掛けていただくことは増えたかもしれません。「あんな辛いことやっていてすごいね」って言われるんですが、僕からしたら好きでやっているので全然辛くないんですけどね。確かに怪我したら痛いですが、みんなが求めてくださるならトコトンやります!

――その中で本格的にサバイバル技術を学んだわけですね。

あばれる君:はい。番組でサバイバルをすることになったけど、いきなり行くのは不可能だったので、今から6〜7年前にアドバイザーのもとで修行して学びました。その方が今でも僕の師匠です。色んなことを学びましたが、教えていただいた中で一番役に立った技術は紐の結び方かな。普通に結ぶだけだとグラついてしまうけど、力が加わるポイントを考えたり、薪を1本噛ませたりするだけで解決するということを学びました。トライポッド(三脚)を作る時はどこを結べばいいのか、なんてことも覚えました。

――そうして身につけたことが著書に詰まっているわけですが、ページの端に書かれているワンポイントアドバイスも面白いですね。

あばれる君:こういうのって子どもが見た時テンション上がりますよね。「ナイフや火を使う時は必ず大人と一緒に」とか基本的なことが書いてありますが、どれも大切なことなんですよね。僕もナイフで大怪我したことがあるので。火も大人のマネをして誰しも1回は失敗するじゃないですか。だから大事になる前に気をつけてほしい、というのはあります。この本ではサバイバルについて教えているんですけど、決して命知らずになれとは言っていなくて。『アイ・アム・冒険少年』なんかでは、無鉄砲に突き進む感じを面白がってもらっていますが、皆さんが想像する以上に僕たちは慎重に、怪我をしないように、体調を崩さないようにやっています。それらが起きた時点で、もうサバイバルは失敗なんです。

――ちょっと知識がつくと、無理したくなってしまいますもんね。

あばれる君:そうなんですよ。だからこそ慎重に。水を濾過して見た目がきれいになったから飲めると思ったら大間違い。キレイな川の水だから直接飲めるだろうと思っても、もしかしたら上流で動物が死んでいるかもしれない。そうなると、雑菌が流れているから気をつけなきゃいけません。

――そういったリスクヘッジをするにも、やはり経験が大切になるのですね。

あばれる君:家の中で足の小指をぶつけてしまったら、二度とぶつけないように注意しますよね。そういう風に痛みを経て学ぶことは多いと思います。

関連記事