『バクマン。』『ブルーピリオド』から『響』まで 創作に青春をささげる中高生が描かれる漫画3選

 全国高等学校野球選手権大会(甲子園)をはじめ、部活動の大会で汗を流す中高生の姿は青春の要素として広く浸透しているだろう。一方で、10代の学校生活を運動だけでなく文化活動に費やした人も多いはず。漫画作品においても、中高生が創作活動に精を出す姿を描いた作品は多く存在する。本稿では、運動部とはまた違う熱い青春の日々が描かれた作品の一部を取り上げ、紹介したい。

『ブルーピリオド』

 「マンガ大賞2020」をはじめとする数々の漫画賞に選ばれ、2021年にはアニメ化も果たした『ブルーピリオド』。不良少年としての一面がありつつも成績優秀な男子高校生・矢口八虎が、とある美術作品との出会いや自分に素直になれない葛藤から絵を描く悦びに目覚め、一喜一憂しながら創作に励む様子が描かれる。

 第1話時点で八虎は高校2年生であり、6巻までは八虎が日本一受験倍率の高い東京藝術大学への入学を目指し奮闘する。650日という限られた時間しか残されていないという危機感もあいまって、八虎は美術部員や予備校の同級生など周囲が驚くほど多くの作品を創作し、大きな成長を遂げることとなる。

 受験編において1日も無駄にしないように創作を続ける八虎の姿が描かれており、ときに自身が感じたつよい怒りや哀しみを作品にぶつけながら日々を過ごす。思春期という多感な時期にいる八虎が自身の感情を創作に昇華させる姿は、大人になった読者になつかしさや大きな刺激を与えるものであるはずだ。

『バクマン。』

 「週刊少年ジャンプ」(集英社)にて2008年から2012年まで連載された『バクマン。』。2010年にはアニメ化を果たし、連載が終了したあとも実写映画化や舞台化された作品である。

 幼いころから絵で表彰されることが多く、叔父が漫画家であった中学生・真城最高。そんな最高に作文や感想文で多くの賞状を獲得してきた同級生・高木秋人はふたりで漫画家を目指すことを勧める。漫画家としてデビューすることや自分たちの作品がアニメ化されることを目標に、漫画を描き続ける日々が描かれる。

 夏休みに叔父のつかっていた仕事場で寝泊まりしながら漫画を描き続けたり、ときにコンビを解散してしまうようなケンカをしたりーー。ふたりで夢を目指すからこそ、創作を続けるなかで最高と秋人の友情を感じることができる点は本作の魅力のひとつとして挙げることができるであろう。

 最高と秋人の夢に絡んでくるのは、最高のフィアンセとなる同級生・亜豆美保の存在だ。声優を目指す亜豆の夢が最高たちの夢と重なり、最高たちの漫画が原作となったアニメのヒロイン役を亜豆が演じることが物語のゴールとなる。友人や恋人、他の漫画家や編集者といった多くのつながりのなかで努力し、夢を叶えていく最高たちの姿は、まさしく「友情・努力・勝利」といったジャンプイズムを感じるものだ。

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