“聖夜決戦編”放送決定の『東京卍リベンジャーズ』 スピーディで目が離せない最新28巻を徹底レビュー
最終章は1話1話がクライマックス?
と、これが『東京卍リベンジャーズ』の前巻までで描かれている大まかな展開なのだが、最新刊(28巻)では、早くも二代目東京卍會と関東卍會という2つの「トーマン」が激突する。いささか展開が急すぎる気もしないではないが、これは「週刊連載」という形の物語が要求するスピード感でもあるのだろう。
注目すべき点は、前巻でのタケミチの「“オレたち”のリベンジ」という言葉どおり、各メンバーがそれぞれ因縁のある相手とぶつかっていく“演出”である。タケミチVS鶴蝶、三ツ谷&八戒VS灰谷兄弟、千冬VS望月莞爾といった戦いがほぼ並行して描かれていくのだが(いまは敵味方に分かれているイヌピーとココもある“決断”を迫られる)、こうした「同時進行的にいくつものバトルを描く」というのが、(『呪術廻戦』や、中盤以降の『鬼滅の刃』などを見てもわかるように)近年のこの種の漫画の見せ方の主流なのかもしれない(例外はもちろんあるだろうが、かつてのバトル漫画の多くは、たとえ集団バトルであっても、同時進行的ではなく、トーナメント形式や格闘技の団体戦のような形で、1つ1つの戦いを順に描いていた)。
いずれにせよ、いまの漫画読者が求めているスピード感と情報量がコレなのだろう。とは言え、複数のバトルが同時に展開すればするほど、主人公の存在は希薄になり、読者の視点は散漫になってしまいかねないのだが、和久井健のハコ書き(プロット構成)が巧みなためか、キャラ立てがうまくいっているためか、あくまでも本作が“花垣武道の物語”であるという部分はブレていない。
実は、次の巻以降では、ある人物が「タイムリープの秘密」を知っていることをほのめかし、さらには、東京卍會に“まさかの人物”が合流する。1話1話がクライマックスと言っても過言ではない、『東京卍リベンジャーズ』の最終章から当分目が離せそうにない。