Jr.EXILE世代が活躍『BATTLE OF TOKYO』の全貌とは? 『小説 BATTLE OF TOKYO vol.3』を徹底解説

 LDHが仕掛ける次世代総合エンタテインメントプロジェクト『BATTLE OF TOKYO』。Jr.EXILE世代と呼ばれるGENERATIONS、THE RAMPAGE、FANTASTICS、BALLISTIK BOYZのメンバー総勢38名が参加する本プロジェクトから、『BATTLE OF TOKYO』の原作となるストーリーを描いた『小説 BATTLE OF TOKYO vol.3』(株式会社KADOKAWA/月島総記・著)発売された。同時期には公式ビジュアルガイド『BATTLE OF TOKYO OFFICIAL STARTING GUIDE』も発売され、始動当初、「超東京ってどこ!?」「バビロニウムって何!?」と頭を悩ませていたファンのみなさんも、謎に包まれていた世界の全貌がようやく見え始めていることだろう。

 プロジェクトが動き始めたのは2019年。当時、最年少グループのBALLISTIK BOYZはデビューしたばかりだったが、4チーム総当たりバトルのミュージックビデオやコンピレーションアルバムのリリース、幕張メッセでの4daysライブ『BATTLE OF TOKYO ~ENTER THE Jr.EXILE~』といったダイナミックな展開でファンを魅了し、Jr.EXILEブームに火を点けた。バトル形式のレアなパフォーマンスもさることながら、4daysライブを行う際に召喚したバトルアリーナ“バビロニウム”(『BATTLE OF TOKYO』の世界に登場する、普段は交わることのない多重郷次元を結びつける存在)をはじめとする謎ワードが好奇心を刺激したことで、「何なのかよくわからないけど、気づいたら『BATTLE OF TOKYO』にハマっていた!」という人も多いのではないだろうか。そのため、それからしばらくは進展がなかったものの、ファンの熱は冷めることなく、2020年10月に開催された配信ライブ『LIVE×ONLINE INFINITY “HALLOWEEN”』のステージに“バビロニウム”が召喚されると、再び大きな話題に(参照:『LIVE×ONLINE INFINITY “HALLOWEEN”』で魅せた一夜限りの演出&コラボ Jr.EXILE世代3組が共演した1日目をレポート)。そして2021年4月、『BATTLE OF TOKYO』は、現実世界と仮想世界の両方を同時に体験できる最先端テクノロジー“Mixed Reality”を用いた「Mixed Reality Entertainment」として本格始動したのだった。『BATTLE OF TOKYO』にはJr.EXILEのメンバーたちの分身のようなキャラクターが登場するのだが、2021年に行われた記者会見によると、各アバターに豪華声優陣が声を吹き込んだアニメやゲームが順次発表されるとのこと。先陣を切るようにリリースしたコンピレーションアルバム『BATTLE OF TOKYO TIME 4 Jr.EXILE』も、本人の実写映像とアニメーションが融合したMVを公開し、同時期に発売された『小説 BATTLE OF TOKYO vol.1』と共に物語の解像度を上げた。

 小説だけに留まらない一大プロジェクトを成功させるにあたり、その骨組みは総合プロデューサーであるHIROと、LDHの総合エンタテインメントプロジェクト『HiGH&LOW』シリーズの全脚本を手掛け、監督や俳優としても活躍する平沼紀久、『交響詩編エウレカセブン』をはじめ、数々のSFアニメを手掛けてきた佐藤大によって作られたのだという。そこにゲームのシナリオライターとしても高い実績を誇る月島総記が加わり、38名の主要キャラクターと、物語に欠かせないサブキャラクターたちが躍動する『小説 BATTLE OF TOKYO』が誕生した。その後、昨年7月には『小説 BATTLE OF TOKYO vol.2』を発売。それに続く小説版の第3弾が本書である。

 ……と、今までの動きをまとめるだけでも情報量が多い。だが、小説の内容もかなりビッグスケールで1冊ごとの濃度が高いため、できるだけコンパクトに本書のあらすじを紹介したい。『BATTLE OF TOKYO』初心者も、めげずについてきてほしい。

 この物語の舞台は、世界的な大嵐に見舞われながらも、最先端の複製技術=通称「コピー」で奇跡的な復興を遂げた都市・超東京。そこには渋谷を拠点とする怪盗団MAD JESTERS(≠GENERATIONS)、六本木を拠点とする用心棒集団ROWDY SHOGUN(≠THE RAMPAGE)、超東京の郊外にあるテーマパーク“アストロパーク”を拠点とするイリュージョン集団Astro9(≠FANTASTICS)、池袋を拠点とするハッカーチームJIGGY BOYS(≠BALLISTIK BOYZ)という4チームが存在し、彼らはそれぞれスキルという特殊能力を持っている。スキルの種類はさまざまで、MAD JESTERSは触れたことのある物を複製する「コピー」能力、ROWDYSHOGUNはあらゆる攻撃を跳ね返し、自分や他者を守る「プロテクト」能力、Astro9は物体の形状や性質・運動状態などを変換する「コンバージョン」能力、JIGGY BOYSは見た物や人を解析し、他者のスキルさえも複製する「スキャニング」能力の使い手だ。小説版では、読者の案内役を担うキャラクター・マキナも登場しつつ、超東京の至るところで能力者たちによる熱くトリッキーなバトルが繰り広げられている。とはいえ、揺るがない信念を胸に死闘を繰り広げることもあれば、超東京の支配を目論むブルーシールドの策略にはまってぶつかり合い、後々和解することも。どんどん複雑化していくチーム同士の関係に加えて、キャラクター1人ひとりが背負っている過去なども明らかになっており、今作ではチームの垣根を越えた因縁も見え始めている。

 さらに『小説 BATTLE OF TOKYO vol.3』では、これまでMAD JESTERSが盗み、ROWDY SHOGUNが守り続けてきた「ファイナル・ファクト」――“あらゆるものがコピーされた世界の中でコピーできないオリジナルの品”のヒントや、超東京・今より少し未来の新東京・我々が生きる現在の東京を結ぶ場所“バビロニウム”への入口が明らかに。自分たちの育ての親である団長が所持していた古書がファイナル・ファクトであることを知ったAstro9と、チーム最高のスキル使い・クロードに導かれたJIGGY BOYSもファイナル・ファクト争奪戦に加わる。という、ある意味壮大なプロローグが完結したところで、次巻にバトンを繋いだ。ちなみに、本シリーズは登場人物があまりにも多いことから、毎巻特定のメンバーがフィーチャーされるのだが、今作ではMAD JESTERS・ロッソ(≠中務裕太)の血に宿る力や、ROWDY SHOGUN・マルドゥク(≠山本彰吾)が持つ「プロテクト」以外の特殊能力など、何でもアリのチートキャラが多数登場。個人的にマルドゥクは、普段から“THE RAMPAGEの参謀”と呼ばれている山本彰吾の分身というだけあって、絶対に倒せなさそうだし、殺気立っている姿が容易に想像できるハマリ役だと感じている(実際のヤマショーさんは狂気じみた表情をすることも多々あるが、チャーミングで優しい人なので誤解しないでほしい)。また、Astro9のカラス(≠八木勇征)とアリア(≠中島颯太)が見せる攻防のコンビネーションや、フューチャー(≠深堀未来)を中心にメンバー同士の絆を描いたJIGGY BOYSのパートも、実際のメンバーたちの関係性とリンク。もちろん現実と違う部分も大いにあるのだが、グループ内でもペアを組むことの多い2人がバディとして戦っていたり、そのメンバーが好きなものが登場したり、どことなく現実の姿が透けて見えるのが『BATTLE OF TOKYO』の面白いところだと、本書を読んで改めて実感した。

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