ノベライズで知る、『グッバイ、ドン・グリーズ!』&『地球外少年少女』の深い設定やキャラの心情
2月18日公開のアニメ映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』や、1月28日からNetflixで配信中の磯光雄監督によるアニメシリーズ『地球外少年少女』のノベライズが相次いで刊行。それぞれの世界設定や登場人物の心情を豊かなテキストで読むことで、監督たちが言いたかったこと、伝えたかったことにより深く迫ることができる。
「読んでから見るか、見てから読むか」は、1976年公開の『犬神家の一族』を始まりとした、角川映画と角川文庫とのタイアップを表すキャッチコピー。映画の原作小説を読めば、映像で表現された世界を、言葉という別の角度から楽しめることを感じさせてくれるフレーズだ。
その角川文庫から山室有紀子著で出た『グッバイ、ドン・グリーズ!』(原作/Goodby,DontGlees Project 脚本/いしづかあつこ)は、『宇宙よりも遠い場所』のいしづかあつこ監督によるアニメ映画のノベライズだ。山に近い田舎町に暮らす高校生のロウマと友人のトトが小学生の頃から2人で組んでいた“ドン・グリーズ”というチームに、ドロップという少年が加わってちょっとした冒険を繰り広げる。
映画を観た人なら、ドロップと呼ばれる小さくて髪の長い少年が“ドン・グリーズ”にいきなり加わっていることに、戸惑うかもしれない。ノベライズでは、ロウマが古道具屋で最初にドローンを見つけた時、トトがいきなり話しかけて来て、10万円の値段に迷っていたロウマに数日後には安くなると教え、自分が見張っていてあげると言って連絡用のトランシーバーを渡す描写を入れて、2人のなれそめを分からせてくれる。
同級生たちから浮いていたロウマとトトのうち、トトが東京の高校に進学してからロウマは高校でひとりきりでいることが多かった。そんなロウマを心配していたトトが旧交を温めようとしたらドロップがいて、2人だけの秘密基地にも招き入れていた。そこでトトに浮かんだ複雑な心境にも触れられていて、3人が風に流されたドローンを探しに山へと入ってから、先走るドロップにトトが腹を立てがちな理由も分かる。
子供のままではいられなくなっていたロウマとトトがちょっとした冒険を通して、それぞれにぶつかっていた壁を乗り越えようとする物語が『グッバイ、ドン・グリーズ!』。鍵となったのが新参者のドロップだ。決してあきらめようとせず、欲しいものなら手に入れようと頑張る姿は田舎で沈んでいたロウマも、進学校で落ちこぼれ気味になっていたトトも、そして作品に触れる人も刺激して歩みを再開させる。
映画はそこで、アイスランドの大地や大滝といった壮大な自然の風景が登場し、外へと出て行くことの価値を映像によって分からせてくれる。地方都市に暮らす少女たちが日本から遠く南極へと行って世間を知り、大自然を知る『宇宙より遠い場所』のいしづかあつこ監督ならではの表現だ。ここにノベライズを加えることで、ロウマやトトの屈折していた心が真っ直ぐさを取り戻していく様子にも触れられるだろう。