「好きなことで生きていく」の光と影ーー『ブルーピリオド』『その着せ替え人形は恋をする』『着たい服がある』が描くもの
「好き」という気持ちを認める
『着たい服がある』(常喜寝太郎)に登場するマミは、ロリータファッションが大好きな女子大生。けれど、背が高くクールな外見であるため、周囲から求められる”かっこいい女性像”から外れることを恐れ、本当に着たい服を着れずに複雑な思いを抱えている。
そんな彼女を見ていると、まず「好き」なものを好きということが、どんなに難しいことなのかと痛感させられる。周囲の目が気になって、そもそも「好き」という自分の気持ちさえ認められない......。そんな悩みを抱えている方も多いのではないだろうか。
その後、マミはバイト先で出会った周りの目を気にせず奇抜なファッションをし続ける同僚・小澤くんに感化され、自らを見つめ直した結果、改めて自分はロリータファッションが大好きで堂々と着たいのだと気付く。そこから彼女は自分の「好き」を認め、徐々に開放していくようになる。
自分の本心と向き合い、自分の「好き」を認める作業。これは、自分の「好き」がマイノリティだからと自信を持てずにいる人や、そもそも「好き」なものがよく分からないという人にとっては、大きな一歩になるかもしれない。