箱根駅伝まで1週間! 額賀澪から三浦しをんまで、読めば感動が増幅する“駅伝小説”を一挙紹介
ただ、関東学生連合チームが関東学連選抜チームだった時代は規定が異なり、上位に食い込むことも可能だった。堂場瞬一の『チーム』は、そんな時代の関東学生選抜チームの挑戦を描いた小説だ。過去に3度、箱根駅伝に出場して「山の神」が生まれる五区やエースが競う花の二区などを走り、すべてに区間新を出した山城を筆頭に、経験者が含まれたチームが優勝をぶち上げてレースに臨む。
全員が区間新を出せば自ずと優勝できると言ってチームを顧みない山城や、過去にアンカーの十区を走って失速し、シード権を逃した浦といった登場人物たちが、寄せ集めチームでそれぞれに走ることとは何かを考え、実際のレースの中で得がたい経験をするドラマを味わえるストーリー。卒業後に華々しい活躍をしながら引退の危機に陥った山城をかつての仲間がサポートする『チームⅡ』や、引退後の山城が後継者を指導する『チームⅢ』を続けて読んで、エゴイストだった彼がどうなったかを知りたくなる。
ちなみに、2008年に関東学生選抜チームが4位に食い込んだ時の監督が原晋。青山学院大学を率いて4連覇を含む5度の優勝を飾った名指導者は2年ぶり6度目の優勝を飾れるか。いろいろなドラマが今回の箱根駅伝でも繰り広げられそうだ。