司波達也もリムルも上条当麻も蹴散らす? “本当は強いキャラ”はギルドの受付嬢!

 内容はタイトルにあるように、ギルドの受付嬢として働くアリナ・クローバーが正体を隠してダンジョンに潜り、最強の勇者チームでもてこずるボスを巨大なハンマーで蹴散らして回るというもの。それだけの実力があるなら、冒険者として戦った方が稼げるはずだが、いつ大ケガを負って動けなくなるかもしれない不安定な職業よりも、定年まで働けて確実に給料がもらえローンも組める受付嬢の方が良いと譲らない。

 だったらどうしてダンジョンに潜るのかと言えば、ボスがなかなか攻略されないダンジョンにはモンスターも湧き続け、それを狙って大勢の冒険者たちがギルドの受付に押し寄せるからだった。当然、対応に当たるアリナの仕事は増え、定時で終わらなければ残業となってプライベートな時間を奪う。それなら自分がボスを倒してダンジョンを終わらせようということで、ある時ふっと授かった神域スキルを使ってダンジョンに潜り、ボスを討伐して回るようになった。

 仮面を付けた上にフードを被って正体を隠し、大暴れするアリナについたあだ名が”処刑人”。最新刊では、新しく発見されたダンジョンが迷路のようになっていて、なかなか攻略できないと聞き、ハンマーを壁に叩きつけて強引に通路を作り、一直線にボス部屋へと向かうパワープレイを見せてくれる。それだけ暴れ回って正体がバレていないのかというと、最強パーティー「白銀の剣」で盾役を務めるジェイド・スクレイドや、ギルドマスターのグレン・ガリアにはしっかりバレていて、「白銀の剣」でも手を焼く相手との戦いに駆り出されたりもする。

 その敵とは魔神。モンスターとは違って意思を持ち、人間を襲ってくる謎の敵が存在していたことにアリナやジェイドは驚くが、そうした相手と互角以上の戦いを繰り広げられるアリナの力の方が読者にとっては驚きだ。どうして彼女に他人にはない神域スキルが発芽したのか。次々と現れる魔神たちは何を狙っているのか。巻を重ねるに従って気になる点も増えて、ますます続きが楽しみになる。発売即重版の人気ぶりも分かる面白さだ。第3巻のラストにも強烈な引きがあって「まさか!」と思わせる。アリナにとっても衝撃の展開となりそうで、今か4巻の発売が待ち遠しい。

 このほか、ランキングでは3年9カ月ぶりとなる榎宮祐の「ノゲノラ」シリーズ最新刊『ノーゲーム・ノーライフ11 ゲーマー兄妹たちはカップルにならなきゃ出られないそうです』(MF文庫J)が、11月25日の発売を前に6位にランクイン。

 種族に別れて争う世界を平穏に導くため、神様がゲームで決着を付けるよう決定。そこに召還されたゲーマーの兄妹が、不利な状況も込み入ったルールも乗り越えあらゆるゲームに勝利していくというストーリーに引きつけられる。最新刊で挑むゲームは閉鎖空間でのカップル作りというユルいものだが、練りに練ったゲームのルールをぶち込んでくるシリーズだけに、読む手が止められないくらい、ハマらせてくれるだろう。期待したい。

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