『王様ランキング』が気づかせてくれる“自分の可能性” ほのぼのとした絵に込められた強いメッセージを読む

 十日草輔による漫画『王様ランキング』。漫画投稿サービス「マンガハック」に掲載されていた作品が口コミで人気が広がり、単行本化に至った。「このマンガがすごい2020」のオトコ編で第7位にランクインし、現在テレビアニメも放送中と、今もっとも注目度が高い作品のひとつと言える。

 王様ランキングとは、国の豊かさや抱えている強者の数、王様自身がいかに強いかを総合的にランキングづけしたもの。

 王様ランキング7位のボッス王が治める国に生まれた王子・ボッジが主人公だ。しかしボッジは巨人の両親を持ちながらも体が小さくて、非力だ。まともに剣を振ることすらできない。そして、耳が聞こえず、言葉も話せない彼は第一王子ながら、周りからは王の器ではないと思われていた。そんなときにボッジが出会ったのは暗殺集団「影の一族」の生き残りで、大きな目玉がついた影のような生物の「カゲ」。カゲとの出会いによって、ボッジの運命は少しずつ動き出す。

ボッジとカゲの過去……心が震える第1巻

 1巻ではボッジが国でどのような扱いを受けているか、カゲとの出会い、そしてカゲの過去が描かれた。

 耳が聞こえず、話すことができないボッジは、城の人間とは手話で会話を行っている。しかし、大半の人は、ボッジが何も聞こえないと分かると心ない言葉を投げかける。悪気がなさそうに、聞こえないなら何を言っても一緒だろう、というふうに。しかし、実はボッジは読唇術で相手の言葉を理解していた。何を言われているか分かっても、ニコニコしてやり過ごしている。何も感じていないわけではない。我慢しているのだ。そして、ひとりになってから泣いているのだ。なんと、強い少年だろう。

 カゲも最初はボッジを馬鹿にしていた。が、ボッジの本当の姿に触れていくうちに、どんな時も味方になることを誓う。

 カゲ自身も辛い過去を持っていた。母が殺され、自分を助けてくれた人を主人とし、懸命に尽くしていた。その主人も失ったカゲはひとりで生きていたが、ボッジとの出会いによって、カゲの運命もまた変わっていくのだ。

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