いま『なかよし』がアツい! 大人が楽しめる王道の青春ラブストーリー&ラブコメを紹介
漫画好きでなくても、少女漫画雑誌の『なかよし』は一度は目にしたことがあるのではないだろうか。筆者が小学生の頃、クラスでも少女漫画雑誌には『なかよし』『りぼん』『ちゃお』と三大派閥(?)があり、友達同士で雑誌の交換をしたり、学校に持ち込んで隠れて読んだりしたものだ。ちなみに私は小学5年生頃に『なかよし』から『りぼん』に移行した勢だ。
そんな私も驚いた。30歳を過ぎて、表紙が綺麗でふと手に取り、読んで面白いと思った漫画が『なかよし』で連載されているものだとは……。「あれ?見た目は大人、頭脳は子どものまま成長してしまったのか?」と一瞬頭がふわふわした。いやいや、違う。今どきの少女漫画雑誌のレベルが高いのだろう。ひょんなきっかけで20年以上ぶりに触れた『なかよし』、大人でも楽しめる2作品を紹介していこう。
『どうせ、恋してしまうんだ。』満井春香(2巻まで発売)
2030年、27歳の誕生日。最悪な一日となってしまった主人公の水帆。街中を歩くキラキラした学生たちの姿を目で追っていると、10年前のあの頃は気づかなかった、まぶしい青春が自分にもあったことを思い出していく……。高校2年生の水帆と、4人のイケメン幼馴染たちとのキラキラした高校生活のストーリーだ。
ヒロインの水帆の幼馴染として登場する4人は、それぞれにタイプが違う。クールで勉強ができる柏木深、読書家でちょっと大人っぽい星川周吾、おしゃれでモデルもしている和泉藍、かわいい末っ子のような羽沢輝月。なかでも輝月は、「水帆、かわいい」「ドキドキする…なんか今日の水帆いつもとちがうから」と素直ではっきりと自分の思いを伝えられるところがとても愛らしい。水帆が陰で泣いたこともいち早く気付くとか、恋愛的なキュンも母性本能寄りのキュンも同時にいただいた気分だ……。
作中ではときおり、2030年の水帆のシーンに戻る場面がある。幼馴染とも連絡はとっているようだが、細かな関係性などはまだ見えてこない。また、メインストーリーは2020年の夏ということもあり、未知の感染症で大事な部活の大会に出られない、悔しい思いをするなど、リアルにも通じる場面がある。「一度の夏休みくらい、我慢するのも仕方がない状況か……」と思ってしまっていたが、大人になってひと夏の長さ、大きさを忘れていたことに、ひっそりと気づいた。
一周二周もまわって、こういう純度が高い作品を読みたいと思う瞬間って誰にでもあるのではないだろうか。キラキラとまぶしいくらい”ザ!王道の青春ラブストーリー”ともいえる作品だ。大人の読者は、こんな青春をしたかった、実は自分もけっこう青春していたんだな……と思い返しながら楽しむ作品になりそうだ。