【漫画】仲間を痛めつけた相手に「最期にいいもん見せてやるよ」 個性派のファンタジー作品をプロ漫画家が添削すると?

 各種アプリやウェブサービス、SNS等の隆盛により“掲載”の場が急増したことで、多くのクリエイターが漫画を発表し、ウェブ発の人気作品も多く登場するようになった昨今。デビューを目指す漫画家の卵に対し、作画や物語づくりの悩みに答え、実際に添削を行うプロ漫画家・イラストレーターの動画が人気を広げている。

 なかでも、親身になったアドバイスと熱のこもった指導で高い人気を誇っているのが、元週刊少年漫画誌の連載作家「ペガサスハイド」氏だ。視聴者から寄せられた一見上手なイラストや漫画が、プロの目線で細かくチェックされ、本人の長所を生かしつつ、見る見るクオリティを上げていく様子が痛快で、クリエイターを目指していない視聴者も楽しめる内容になっている。

 10月17日公開の動画で取り上げられたのは、漫画家を目指して、出版社への持ち込みを考えているというダニエルさんの作品。添削希望として寄せられたのは、ファンタジー漫画の1ページで、仲間を痛めつけたドラゴンのような生物に対し、主人公が「最期にいいもん見せてやるよ」と凄む場面が描かれている。

#32 Manga lecture 一見上手な漫画もプロが見れば…? ファンタジー漫画の添削

 ペガサスハイド氏はいつも、寄せられた漫画やイラストの「良いところ」から分析していく。「今回は良いところがいっぱいある」として、まず評価したのは、「絵が個性的」なこと。ダニエルさんはこれまでも何度か添削希望を出しているそうで、ペガサスハイド氏は「パッと見てダニエルさんだとわかる。これだけ個性を確立しているのが素晴らしい」と称賛した。また、吹き出しのなかの“悲鳴”の置き方や、怒りに震える主人公の表情の変化など、表現に遊び心があることも高評価。さらに、絵柄に可愛らしさがあることから、背景が暗く、悲壮感のあるシーンでもどこかコミカルで、気持ちよく読み進められるのも大きな魅力になっていると分析しいた。

 ここからペガサスハイド氏は、「自分ならこう描く」と、元の原稿を生かしながらネームを描いていく。さすがプロ、と唸らされるのは第一の改善点として「吹き出しの位置」が挙げられたところだ。素人考えでは、「誰のセリフかわかり、角の方にあれば……」くらいの感覚で捉えてしまうが、例えば主人公の髪型が見えづらくなったり、「読者が見たいものを邪魔している」と、ペガサスハイド氏は指摘する。言われてみれば、元の原稿はどのコマも、吹き出しがやや絵を邪魔している感があった。

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