地元大阪を自慢する4コマ漫画、プロ漫画家の添削でどう変化? 読者目線を徹底することの効果
各種アプリやウェブサービス、SNS等の隆盛により“掲載”の場が増えたことで、多くのクリエイターが漫画を発表し、ウェブ発の人気作品も多く登場するようになった昨今。Twitter上で自身の体験を綴った漫画を公開し、大きなバズを起こすクリエイターも増えている。そのなかで、短く簡潔にまとめられるぶん取り組みやすさはあるが、それだけにセンスが問われる作品になるのが、「4コマ漫画」だ。
そこにはどんなポイントがあるのか。YouTubeに丁寧かつ熱のこもった「漫画/イラスト添削」動画を投稿し、クリエイターたちから信頼を置かれている元週刊少年漫画誌の連載作家「ペガサスハイド」氏が、「一見上手な漫画もプロが見れば…? 地元(大阪)自慢の4コマ漫画の添削」と題した動画を公開した。
今回、ペガサスハイド氏に自作4コマ漫画の添削を依頼したのは、漫画家を目指しているというふくさん。地元自慢のための4コマ漫画を書いたが、「主旨がブレている気がする」とのことだった。
その内容は、地方から大阪に転向してきた少女が、関西弁のトークに翻弄される、というコミカルなもの。ペガサスハイド氏は「添削」動画でもまずその作品の良いところを見出すのが恒例で、今回の漫画については、「女の子がかわいく描けていて、4コマ漫画としてはそれだけでつかみがOK」「親しみやすい絵柄で、男性読者が見ても、女性読者が見ても嫌味がない」と評価し、また「私のジモト自慢」というテーマのコンテストへの応募作であることも、「チャレンジ精神があるのが素晴らしい」と語っていた。
そこからペガサスハイド氏は、いつものように元の原稿を生かしつつ、自らネームを描いていく。本作の最初の問題は、「私のジモト自慢」というお題=タイトルに対して、最初のコマで地元=大阪に引っ越してきた少女が描かれることで、読者が混乱してしまうということ。4コマという簡潔なフォーマットだけに、タイトルとの整合性が崩れてしまうと、読者にとってはスムーズに楽しめないものになってしまうようだ。
また、「ちゃうねん」「知らんけど」など、トークにリズムをつける関西弁について、少女が「違う」「知らないが」という直接的な意味で受け取り、困惑してしまうところが本作の面白味だが、これもうまく説明がなされていないため、関西圏出身者以外は意味が取りにくい、という問題も指摘された。「マクドでミスターオクレに会った」という話題も、やはり伝わりづらい。果たして、ペガサスハイド氏がリライトした4コマ漫画は、どのように変化したのか。