高岡早紀が明かす、“魔性の女”の素顔 「私は私として成長していきたいと思っている」

歌手活動を通して


――2013年公開の映画『モンスター』のエンディング曲「君待てども ~I'm waiting for you~」を歌ったことをきっかけに、約22年ぶりに歌手活動を再開しました。

高岡:音楽活動は「女優・高岡早紀」の楽しみのひとつですね。ありがたいことに、女優として認識していただける存在になれた今だからこそ、女優にこだわらず、自由に解放的に歌を歌ったら楽しいんじゃないかと思って、またはじめてみたんです。と、つい最近のことのように話していますが、再開してから既に8年も経っているんですよね。もう「遊びの延長だ」なんて言ってられないなと思いながら、いまだにそう言っちゃうんですけど(笑)。

――やはり女優業とは楽しさや難しさはまったく違いますか?

高岡:そうですね。女優業の場合は監督の作品に出させていただくことになりますから、演じるなかでの自由さはあっても、不自由なことも多いです。しかし、歌手活動においては全て私の自由。私のライブで私の歌を披露して、好きなように喋って、お客さんに楽しんでいただくというね。それに、コンサートを行うようになってから、ファンの方とのコミュニケーションも増えました。今まで交流の機会がほとんどなかったので、より私のパーソナルな部分を知っていただけるようになったと思いますし、純粋にとても楽しいですね。

――女優としてのお話を伺っているときも錚々たる監督の名前が挙がりましたが、歌手活動においても高橋幸宏さんなど、素晴らしい方たちから楽曲提供を受けていますよね。

高岡:本当に恵まれていると思います。若い頃にお世話になった高橋幸宏さんは、音楽性もさることながら、言葉を大事にされていている方で。リズムに合わせて歌うなかで、歌詞にある言葉を伝えることの大切さを重点的に教えていただいた記憶があります。女優と歌手は別物ですが、言葉に感情をのせてお客さんにお届けするという意味では、重なる部分もあるんですよね。8年前に歌手活動を再開したときも、高橋さんの教えはずっと残っていましたし、それは今も変わらないです。

――お話を伺っていると、いろんな方との出会いがあって今の高岡さんがあることを実感しました。そして、その出会いに恵まれたのは、高岡さんがさまざまな仕事に挑戦し続けてきた結果だと思います。これまでの活動を振り返り、改めて読者に伝えたいことはありますか?

高岡:そういえば、つい先日、10歳の娘が「私は失敗したくないんだ」と言っていて。「何で失敗したくないの? やってみないと分からないじゃない」と話をしても「失敗するって分かっているから、挑戦したくないんだ」って。そんな会話があったんですよ。でも、行動を起こして失敗を経験するからこそ、何がいけなかったのか、どこを改善すれば成功するのかが分かってくるわけじゃないですか。失敗を恐れていたら、成功も何もないですよね。だったら「私はできる!」と自分を信じて挑戦する選択の方が絶対にいいし、そこで失敗してしまったら、そのとき対策を考えればいいと思うんですよね。……って、嫌だな。最後に真面目な話をしちゃった(笑)。

――いやいや、いいお話を聞かせていただきありがとうございます。ちなみに娘さんは、その高岡さんの話を理解してくれましたか?

高岡:どうなんでしょうね。「もう寝る! おやすみ!」って、その日の会話は終わりました(笑)。何事においても、楽しむ気持ちで挑戦していけるのがいいですよね。やる前から悪いことを考えるのではなく、まずは行動に移してほしいなと思います。

■書籍情報
『魔性ですか?』
高岡早紀 著
定価: 1,650円(税込)
出版社:KADOKAWA

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