『シティーハンター』冴羽獠と槇村香の純愛 結ばれそうで結ばれない愛の物語を振り返る

ガラス越しのキス

 冴羽にとって父親同然の存在であり、槇村秀幸を殺した組織「ユニオンテオーペ」の総帥である海原神。冴羽と海坊主、そして香、美樹の4人は全ての決着をつけるため、海原の乗る船に乗り込む。

 海原の前に4人が集結すると、海原は冴羽と決着をつけるため、謎のボタンを押す。すると海原と冴羽、残る3人の間に特殊ガラスが落ちてくる。心配する香を前に、2人は決着戦へ。冴羽が撃ち抜かれてしまったと泣く香だったが、瀕死の重傷を負ったミックが落としたペンダントが海原の足に絡まりバランスを崩したことが影響し、急所が外れ、冴羽が海原を撃ち抜いた。

 その後、船に仕掛けられた時限装置がカウントダウンを始める。防弾ガラスのドア側にいた3人は美樹の活躍で脱出の目処がつく。香は逃げるよう促す冴羽に「あなたを残すなんてできない。あたしだけ助かるなんて嫌」「父親を殺してあなたは脱出を考えていない」と叫ぶ。

 冴羽は「必ず脱出法がある」「お前こそ逃げ遅れて俺を悲しませないでくれ」と説得し、ガラス越しにキスする。3人は逃げ、取り残された冴羽。絶体絶命だったが、死んだはずの海原に息があり、「自分の義足に仕掛けられた爆弾を撃てば脱出できるかもしれない」と告げられる。

 結局冴羽は脱出に成功。数日後対面した海坊主は「いよいよお前も年貢の納め時だな」と笑うが、香は数日間の記憶を失っており、関係は振り出しに戻ってしまった。(34巻)

2人の結末は……

 結局漫画版『シティーハンター』で2人が結婚するシーンは描かれなかった。事実上の後継作である『エンジェルハート』では悲劇が待っていたものの、「パラレルワールド」という扱いのため、結末とは言い難い。2人が「やきもきさせたまま」で終わったことも、この作品が語り継がれている要因なのかもしれない。

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