社会人×女子高生の“年の差”だけど安心安全? 『恋と呼ぶには気持ち悪い』の平和な世界

 この原稿を書いてる前日、『SNS−少女たちの10日間』というドキュメンタリー映画を観てきました。成人した女優3人が12歳の少女と偽ってSNSのアカウントを作ったところ、たった10日で2458名もの成人男性たちがアクセスしてきて、性的な要求をしたり、脅迫したりしてきたというもの。想像を絶する性的虐待の数々に、むちゃくちゃ気分が悪くなってしまった。優しげな会話を交わす理由は、ぜんぶ自分の欲求を満たすため。過去のセクハラ被害や元カレからの無神経な言葉を思い出したりして、すっかり鬱になって映画館から出てきました。

 いきなりまったく関係のない映画の話から始まりましたが、『恋と呼ぶには気持ち悪い』は、出だしがちょっと気持ち悪かった男性の物語です。

 エリート会社員(たぶん)の天草亮さんは、体調が悪くて階段から落ちそうになったところを女子高生の一花に助けてもらいます。偶然一花は亮の妹と同じ高校で仲良し、その日の夜に自宅で2人は再会します。

 亮は誰もが憧れるイケメンで、なんの会社に勤めてるのかよくわからないけど仕事はできるっぽくて、勉強も何でもできるらしい。非の打ち所がないのでむちゃくちゃ女にモテるため、むちゃくちゃ女を舐めておりました。なので当然、自分のサービスは女が喜ぶと思っているわけです。で、助けてもらったお礼として一花に「キスとかは?」と提案するんです。

「あ でもキスだといきなりレベル高いかな 高校生だと。デートからがいい?」

 一花の返事はズガンと「気持ち悪い」です。うん、気持ち悪いよね。10歳も年上の男が、女子高生に性的ワードを発するだけで気持ち悪い。誰もが同じ感覚なんじゃないでしょうか。ところが思ったことをズバズバ口にする一花に、亮は一発でメロメロになるんです。えっそれだけで……?

 この物語は、「出だしだけ気持ち悪かったけど、あとは誰も傷つかない物語」です。このあと亮は、ひたすら一花を追いかけ回します。

 いや、普通に考えると、女子高生を「運命の人」とか言ってる社会人、気持ち悪いです。冒頭の映画のように、世の中には、御しやすいから若い女がいいというようなのもいるわけです。だけど亮さんは、一花に劣情を催すことはありません。ただキュンキュンするだけなんです。しかも一花は、模擬国連に出てガンガン意見しちゃうようなものすごいスーパー高校生でもなくて、普通の、普通の女の子です。