『青天を衝け』で注目の渋沢栄一、その思想は子どもたちにも 「日本の歴史」シリーズに学ぶ

 現在書店には、「渋沢栄一」関連本が溢れている。2024年に一新される日本国紙幣――その一万円紙幣に「渋沢栄一」の肖像が描かれることを財務省が発表したのが2019年の4月。同年9月には、60作目の大河ドラマ『青天を衝け』の主人公が「渋沢栄一」であることをNHKが発表した。それらの影響も大いにあるのだろう。かくして今年2月より『青天を衝け』の放送が始まった今、本屋の店頭には、渋沢が自身の経営哲学を語った談話録『論語と算盤』をはじめとする指南書や伝記、『青天を衝け』関連のムック本など、さまざまな書籍や雑誌が並んでいる。

漫画で読む日本の歴史

 「日本の近代資本主義の父」と呼ばれ、その生涯で立ち上げた会社は500近くにのぼる「大実業家」であることから、主に「ビジネス書」のコーナーで、その存在感を大いに示している「渋沢栄一」だが、その関連書籍は意外なところにも並べられていた。いわゆる「児童書」のコーナーである。ここで取り上げる『コミック版 日本の歴史77 幕末・維新人物伝 渋沢栄一』(ポプラ社)も、その中にあった一冊だ。

 子どもの頃、多くの人が一度は手に取ったことがあるだろう、漫画で読む「日本の歴史」シリーズ。その人気は今も健在で、近年は老舗である小学館をはじめ、集英社、学研、講談社、KADOKAWA、5社のシリーズが、子どもたちのあいだで人気があるという。それらの「日本の歴史」シリーズが、「通史」として日本の歴史を描いているのに対し、ポプラ社の「コミック版 日本の歴史」の特徴は、一冊完結の「人物伝」として、日本の歴史を多面的に描いている点にある。

 2007年、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康という「戦国の三傑」からスタートし、気が付けば実に数十冊を超える壮大なシリーズとなっているポプラ社の「コミック版 日本の歴史」。その最新刊であり、シリーズ77冊目(!)となるのが、この『幕末・維新人物伝 渋沢栄一』なのだ。

 近著に『渋沢栄一と明治の起業家たちに学ぶ 危機突破力』(日経BP)などがある歴史家・作家=加来耕三が、企画・構成・監修を担当している本書。大河ドラマ『青天を衝け』同様、その物語は江戸時代の末期、現在の埼玉県深谷市にあたる「血洗島」の豪農の長男として、渋沢栄一が少年期を過ごした頃からスタートする。その後、尊王攘夷思想に目覚めながらも、とある縁から一橋家の家臣となり、やがて主君・徳川慶喜の弟・昭武に随行してヨーロッパに渡り、その知識と経験をもとに、日本で数々の銀行や企業を設立した渋沢栄一。

 その生涯を100ページの漫画によってわかりやすく描いた本書の内容は、子どもたちのみならず、大人たちにとっても――とりわけ「渋沢栄一」初心者にとっては、大いに役立つものとなっている。ちなみに、同シリーズのラインナップには、「徳川慶喜(41)」や「松平春嶽(60)」など、本作の中に登場することはもちろん、『青天を衝け』のメインキャラクターとしても活躍している人物たちを描いたものも別個存在するので、そちらを合わせて読んでみるのもいいだろう。