『マイ・ブロークン・マリコ』の平庫ワカ、初期作品集『天雷様と人間のへそ』の完成度に驚き

 先ごろ(3月12日)、第24回文化庁メディア芸術祭の受賞作品が発表され、マンガ部門の新人賞に、平庫ワカの『マイ・ブロークン・マリコ』が選ばれた(注)。

注……同作のほか、『スインギンドラゴンタイガーブギ』(灰田高鴻)と『空飛ぶくじら』(スズキスズヒロ)の2作品が新人賞を受賞。

驚きの「完成度」

『マイ・ブロークン・マリコ』

 『マイ・ブロークン・マリコ』は、突然、親友の「マリコ」の死を知ったOL・シイノが、暴力的な父親からその遺骨を奪い取り、かつて彼女が「行きたいな」といっていた岬を目指して旅立つ物語だ。シイノの回想(=マリコとの思い出)を作中の要所要所に巧みに挿入することで、「もういない人に会うには 自分が生きているしかない」(ある登場人物のセリフより)というテーマを見事に浮き彫りにしたこの作品は、2019年7月に『COMIC BRIDGE』で第1話が公開されるやいなや、口コミで目の肥えた漫画読みたちの注目を集め、単行本が刊行された2020年には、その年を代表する漫画作品のひとつになった。

 さて、その『マイ・ブロークン・マリコ』の作者・平庫ワカの作品集が、3月8日に発売された。『天雷様と人間のへそ―平庫ワカ初期作品集―』というタイトルのその作品集には、(副題どおり)MFコミック大賞で新人賞を受賞した表題作のほか、レアな初期作品の数々(高校時代の習作も含む)が主に収録されている。

 その多くは、(無理矢理まとめてしまえば)『マイ・ブロークン・マリコ』と同じ「生と死の物語」であり、少々荒削りではあるが、やはり平庫ワカは最初から平庫ワカであった、というほかない。とりわけ注目すべきは、表題作の『天雷様と人間のへそ』であり、新人賞受賞作(応募作)とは思えないほどの「完成度」がこの作品にはある。

※ 以下、短編『天雷様と人間のへそ』の内容について触れている箇所があります。未読の方はご注意ください(筆者)