野性爆弾・くっきー!が考える「誠実さ」とは? 「真面目なだけの絵は、たぶん描いたことがない」

 芸人としてのみならず、ミュージシャンやアーティストとしての活動も話題となっている野性爆弾・くっきー!による絵本『口だけ紳士と6つの太陽』が現在、好評発売中だ。

 5年ぶりとなる絵本は、誠実さをテーマにしたちょっとグロくてファンタジックなストーリー。日本ロリータ協会会長の青木美沙子の実写と自身のイラストを融合させるという新たな挑戦によって作り出された絵も注目のポイントとなっている。

 今作について「物語も絵も思いつきで描いた」と説明するくっきー!。どこまでが真意かわからない飄々とした語りぶりの中に、芸人という芯の部分を大事にした作品づくりへの想いが垣間見えるインタビューとなった。(タカモトアキ)

構想に2年くらいかかった(ということに)

――5年ぶりに絵本を描いたきっかけを教えてください。

くっきー!:もともと、絵と実写が融合しとるようなものを描きたいなと思ってたんです。映画『ロジャー・ラビット』を観た時にシビれたというか、マイケル・ジョーダンとラビットのアニメが合わさってるのが楽しいなと思っていて。そうしたら、ヨシモトブックスからちょうど本出しません?って声をかけられたんで、やりたいものがあるからやりますって。タイミングが合ったってことですね。

――物語の構想もすでにあったのですか?

くっきー!:それがピクリともなかったんですよ。どうしようかなと考えてる時に、女の子が口の中に入っていくイメージがふわっと浮かんで。それええなぁと思って、なんとなくタイトルを付けて書いていったんです。オチも決めきらんまま書き始めたんで、思いつきの羅列っていう感じですね。って言うと、あんまり聞こえはよくないですけど(笑)。

――昔話や童話にあるような道徳的教訓が入っていたので、かなり考えらて書かれたのかなと思っていました。

くっきー!:でしょ? ぽかったでしょ?

――ぽい?(笑)

くっきー!:そうそう。意識して書いたわけではなく、どういうオチにしようかっていうところで教訓に逃げた感じというか。ええこと書いておけば、みんな納得してくれるかなと。まぁ、思いつきにしてはよくできたなと思いますわ。(ストーリーの)完成はマジでめちゃくちゃ早かったんですよ。本作りましょう言うて打ち合わせして、こんな本にしますっていう話からストーリーを考えてくださいって言われて、大体(執筆期間が)1カ月くらいあったんですかね。けど、締め切り間近までやりませんやん?

――その気持ちはよくわかります。

くっきー!:でしょう? だから、締め切りの前日、前々日……2日くらいで考えたと思います。……よくないですよね、取材的にこの答え。構想に2年くらいかかったということにしてもらえると助かりますわ。

――(笑)。この本の教訓によると、嘘はよくないことなのでは?

くっきー!:あぁ、そうでした。地獄行きになりますねぇ(笑)。

――以前にも『野性昔ばなし』『野性昔ばなし THE ワールド』と2冊の絵本を出されていますが、そもそも昔話や童話はお好きですか?

くっきー!:僕、活字の本はピクリとも読まなくて。どっちかって言うと苦手で、小さい頃の記憶にあったのがこういう昔話とか童話やったってことなんやと思います。どちらかと言うと漫画で育ってきたので、絵がある本のほうが好きなんかもしれないですね。一番印象に残ってるんは、『特攻の拓』。あと、『ビー・バップ・ハイスクール』ですから。

――2冊とも漫画ですね。童話や絵本で印象に残っている1冊はありますか?

くっきー!:ちょっとジャンルがよくわからないんですけど……『ふしぎな島のフローネ』は?

――それは『世界名作劇場』で放送されていたアニメですね。

くっきー!:そうかぁ。じゃあ、『不思議の国のアリス』でどうですか? 映画で観たんですけど、それは印象に残ってます。

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