松原タニシが語る、事故物件のリアルな怖さ 「人の怖さだったり、土地の怖さもある」

『リング』は怖すぎて途中までしか見ていない

――今回の書籍でとくにオススメの話は?

松原:僕が好きなのは「回る自転車」という話です。イラストレーターのスーパーログさんの実話なんですけど、官能小説調に書いてみたんですよ。内容としては、キスしようとしてたら、無人の自転車がクルクル回るだけ(笑)。首なしのライダーが乗っていたとかじゃなくて。なんやねん、この怪談?という話ですが、こういうのがリアルだと思うんです。彼女と別れる瞬間にUFOを見た話とか、「いや、いま超常現象、起きるなよ!」っていうときに起きる話って結構あって。そんなもんなんだよな、という気がするんです。

 回る自転車には続きがあって、神社にお地蔵さんがいるんですけど、そのお地蔵さんをスーパーログさんの同級生が金属バットで殴ったら、事故に遭って死んだらしいんです。そういう話ってよく聞きますが、知り合いの知り合いだったりするじゃないですか。じゃなくて、同級生っていう。ホンマに死んでんねやっていうのがすごいですよね。

――8月28日に公開になる映画をご覧になって、いかがでしたか?

松原:実は中田秀夫監督の『リング』などのホラー映画を、怖くて途中までした見たことなかったんですよ。そんな僕でも面白かったです。「ホラー映画ってこう見なきゃいけないのかな?」という固定観念が、僕にもあるし、みなさんにもあると思うんですけど。この映画は、言ってみればプログレみたいな。どんどん盛り上がっていく曲ってあるじゃないですか。最初、バラードかなと思ったらロック調になって、最後、オーケストラになってるやん、みたいな。クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」じゃないですけど、ひとつの映画でこんなにもいろんなジャンルが入ってくるんだっていう。そんな映画だなと思いました。

 僕、人間椅子というバンドが昔から好きなんです。文学的要素が、文学憧れの少年からしたらすごいグッとくるんですけど。Aメロがあって、Bメロがあって、サビっていう曲じゃないんですよ。ワケのわからん、めっちゃ長いCメロがあったりするんです。人間椅子の7分、8分を超える曲を初めて聞いたときに衝撃を受けて。それの映画版じゃないですけど。あ、こんな展開あってもいいんだ。でもちゃんとまとまってる、という。

――最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

松原:2巻から読んでもわかるようになっています。もちろん、1巻から読んでもらっても大丈夫ですし。たぶん、みなさんが思い描いている怪談本とは違う、より身近な話というか。現実的なイヤな話がたくさん入っているので、楽しんでいただけたらなと。

■書籍情報
『事故物件怪談 恐い間取り2』
松原タニシ 著
価格:本体1400円+税
出版社:二見書房
公式サイト

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