『約束のネバーランド』は理不尽な世界を変えようとしたーークライマックスに込められたテーマを読む

 白井カイウ(原作)と出水ぽすか(作画)が手掛ける漫画『約束のネバーランド』(以下、『約ネバ』)はGF(グレイス=フィールド)ハウスで暮らすエマたち孤児が、ある日、世界の秘密を知ってしまったことから始まるダークファンタジー。

 『週刊少年ジャンプ』(集英社)での連載は先月終了したが、アニメの第2期、浜辺美波主演の実写映画、Amazonプライム・ビデオでの海外ドラマといったメディア展開が今後も目白押しで、その勢いはまだまだ続きそうだ。単行本も今月、第19巻が発売され、物語はいよいよクライマックスを向かえる。

 ※以下ネタバレあり。

 前巻で、鬼達の頂点に立つ五摂家と女王レグラヴァリマを倒したノーマン率いるラムダ724の精鋭部隊とエマたち。しかしノーマンたちが王都で戦っている隙をついて、ピーター・ラートリー率いる鬼側の人間が、鬼たちの王兵2000を率いてノーマンたちのアジトを襲う。アジトにいた子どもたちは捕まり、かつてエマたちが暮らした食用児の農園・GFハウスへと移送される。

 子どもたちを救うため、エマたちはGFハウスに潜入。エマたちは巧みな作戦で敵を追い詰め、ついにラートリーを捕獲する。そこにかつて、エマたちを鬼に出荷していたママ(飼育監)のイザベラがシスター(補佐役)たちを引き連れて現れる。エマたちが脱走したことで失脚したイザベラだったが、ピーターに引き立てられ、農園を束ねるグランマ(飼育監長)に昇格していた。

 銃を持ったイザベラとシスターに取り囲まれ絶体絶命のエマたち。しかしイザベラたちは、ピーターへと銃口を向ける……。

 世界が鬼に支配されており、自分たちが鬼の食料になるために育てられた食用児だと知ったエマたちがGFハウスから脱出する物語としてはじまった『約ネバ』は、第5巻で脱出に成功。それ以降は、未知の世界を旅しながら、鬼たちと戦う長編ファンタジーへと、物語のスケールを拡大していった。

 やがてエマは、ラムダ724の仲間たちと共に鬼たちと戦うノーマンと再会。ノーマンたちは、王都に儀祭のために集結した五摂家と鬼たちの女王に、五摂家から追放されたギーラン卿を襲わせることで、鬼たちを皆殺しにしようとする。

 ノーマンのやり方は間違っていると思ったエマは、人間と鬼の間で取り交わされた「約束」を結び直し、鬼が人を食べなくてもよくなる「邪血」の力を持つ鬼・ムジカとソンジュに共闘を求めることで、鬼と人間の全面戦争を回避しようとする。

 『約ネバ』は、人間の側も鬼の側も一枚岩ではないことが次第に明らかになっていき、スケールの大きなファンタジー漫画に変わっていく。