『フルーツバスケット』が時代を越えて愛され続ける理由とは? 十二支の仲間たちが抱える“呪い”と“絆”

 血縁という最大のつながりを武器に、暴力や暴言、時にはネグレクトで相手の心を支配する親。そんな“呪い”としか言いようのない愛情を、“絆”だと信じ込んでしまう子供。毒親とその子供、十二支の物の怪憑きと親や慊人の関係性は酷似している。

 そこに手を差し伸べたのが、何のつながりも持たない透だ。歪んだ愛ではなく、本当の愛を与えてくれる透に心を開いていく十二支の仲間たち。やがてそこに、血縁を越えた“絆”が生まれていく。他人とも家族のような関係性を築けると知り、4巻で「欲しかったモノがある。思い描いていたモノ、抱きしめてくれる両親、帰りたいと願う家、みんなが笑っている場所、みんなが離れていかないような…自分、温かい処、温かい人。あるんだ、本当に」と、涙を流した由希。

 フルバは、連載当初から“毒親”という言葉が広まって久しい今日まで、長きにわたって十二支の仲間たちだけではなく読者の心に寄り添っている。現在放送中のアニメ『フルーツバスケット2nd season』では、透がまさに十二支の“呪い”を解こうと奮闘する。これを機に漫画を読み返し、その姿を見届けてほしい。

■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter

■書籍情報
『フルーツバスケット』愛蔵版 全12巻
著者:高屋奈月
出版社:株式会社白泉社
白泉社『フルーツバスケット』サイト

『フルーツバスケットanother』1~3巻
著者:高屋奈月
出版社:株式会社白泉社
掲載:マンガPark(https://manga-park.com/title/109

関連記事