『まんがひみつ文庫』から『ウンコロジー入門』まで……休校中の児童に読ませたい、勉強の動機を与える良書6選

『くらべる図鑑』(小学館)

『[新版]くらべる図鑑』(小学館)

 2010年代前半に図鑑業界では「テーマ図鑑」と呼ばれる、従来の「動物」「魚」「恐竜」といったカテゴリ別の図鑑ではなく、なんらかのテーマを設定してカテゴリを横断して取り上げる図鑑が流行した。

 その代表的なものが『くらべる図鑑』だ。これは知識の「習得」というより「活用」の例を示してくれる図鑑だ。コンセプトは、身近なものから宇宙の果てまで、いろいろなものを比べ、新たな発見と驚きの扉を開くこと。見開きを基本に、「いちばん大きな動物は?」「いちばん速い乗り物は?」といった疑問に答えるスタイルで構成されている。

 『くらべる図鑑』のコンセプトは、身近なものから宇宙の果てまで、いろいろなものを比べ、新たな発見と驚きの扉を開くことだ。見開きを基本に、「いちばん大きな動物は?」「いちばん速い乗り物は?」といった疑問に答えるスタイルで構成されている。

 たとえば25メートルを泳いだら、バショウカジキが0.83秒でトップになり、アオウミガメはジェンツーペンギンとタイの2.5秒と健闘し、人間はトップ・スイマーでも10.13秒と遅いことがわかる。

 またたとえば、チーターの体長が140センチ、キリンが4.7メートル、アフリカゾウが7.5メートル、シャチが9.8メートル、ジンベエザメが18メートル、世界最大のシロナガスクジラは33.6メートル。これを絵にして並べることで、それぞれの大きさが一覧できるようにした。

 アフリカゾウと小学生の体重、世界で一番高い樹木と大阪の通天閣、ヒトと、サル、ブタ、ヤギといった動物の歯など、おもしろい取り合わせでの比較も特徴だ。

 ただ比べるだけでなく、ダチョウとニワトリの卵を比べるコーナーは目玉焼きで大きさを表現したりといった工夫がある。

 『くらべる図鑑』はエンターテインメント性の高さがあるだけでなく、いわゆる調べ学習(自由研究や総合的学習)のヒントを子どもたちに与えたことで絶大な支持を得た。

 こうしたテーマ図鑑は、ほかにも「きりんの首はなぜ長いのか?」などの素朴な疑問に答える『ふしぎの図鑑』が10万部以上のヒットとなるなどたくさん刊行されている。

 いずれも今のタイミングでは「調べて比べてみるのっておもしろそう」といった動機を与える点で役に立つ。子どもに自分なりの疑問を見つけてもらい、ネットなり他の図鑑なりを駆使して、掘り下げ、アウトプットしてもらうきっかけとして、こうしたテーマ図鑑が有用だ。

メアリー・ポープ・オズボーン『マジック・ツリーハウス』(KADOKAWA)

メアリー・ポープ・オズボーン『マジック・ツリーハウス 第1巻恐竜の谷の大冒険』(KADOKAWA)

 全世界1億5000万部、日本でも550万部超えの児童向け人気シリーズ。主人公のジャックとアニーが、ツリーハウスで出会った司書・モーガンの導きで世界各地の様々な時代へと旅立ち、歴史的な場所や事件・人物に遭遇しながら、依頼されたものを手に入れて帰ってくる、というのが毎巻のパターンだ。

 このシリーズではシェイクスピアが生きている時代のロンドンやアメリカ建国期の時代に旅してベンジャミン・フランクリンと会ったりと、楽しんで読むうちに歴史や地理の知識が身につく学習要素がちりばめられている(日本版では独自に時代背景などを解説する記事ページも設けている)。

 『プレジデント Family』19年10月号で発表された「東大生が小学生時代に読んでいた本」ランキングでは、『ハリー・ポッター』に次ぐ第2位にランクイン。

 学校が再開したあと社会や理科の時間に「あ、『マジック・ツリーハウス』で出てきたやつだ」と子どもが思うきっかけになるし、休校期間中でも、本シリーズに登場する歴史的な人物に興味がわいたらそれに関連する本を与えるといった発展のさせ方もある。

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