人類は感染症にどう立ち向かってきたのか？　今こそ読みたい「感染症」ブックガイド

　もう一冊は『感染地図　歴史を変えた未知の病原体』。体調不良で亡くなる人が続出した19世紀ロンドン。外科医ジョン・スノーは患者と死亡者を調査して地図に犠牲者の行動と住まいをマッピングしていくとある場所が浮かび上がり感染源を突き止める。後に「疫学の父」と呼ばれるジョン・スノーの業績を記した歴史ノンフィクションだ。

　当時は臭い（瘴気）が病気の元だという迷信が信じられていて病原菌が感染するなど知られていなかった時代。ロンドン市は病気の元である悪臭の対策として科学的な知見も持たずに大規模な下水道整備の工事をしてしまうことで事態を悪化させてしまう。

迷信でなく科学を

　この言葉からエビデンスがいかに大事か考えさせられる。いま必要なのは科学的な根拠をもった正しい情報から“正しく怖がる”ことである。

■すずきたけし
ライターとイラストレーター。元書店員。ウェブマガジン『あさひてらす』で小説《16の書店主たちのはなし》連載中。『偉人たちの温泉通信簿』挿画、『旅する本の雑誌』（本の雑誌社）『夢の本屋ガイド』（朝日出版）に寄稿

■書籍情報
『ペスト』（新潮文庫）
著者：カミュ
翻訳：宮崎嶺雄
出版社：新潮社
価格：825円（税込）
https://www.shinchosha.co.jp/book/211403/

『銃・病原菌・鉄　1万3000年にわたる人類史の謎（上・下）』（草思社文庫）
著者：ジャレド・ダイアモンド
翻訳：倉骨彰
出版社：草思社
価格：各990円（税込）
上巻：http://www.soshisha.com/book_search/detail/1_1878.html
下巻：http://www.soshisha.com/book_search/detail/1_1879.html

『感染地図　歴史を変えた未知の病原体』（河出文庫）
著者：スティーヴン・ジョンソン
翻訳：矢野真千子
出版社：河出書房新社
価格：1,078円（税込）
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309464589/