壇蜜が語る、初の小説執筆と自身の結婚観 「弱い人同士が出会って、もっと弱いものを築き上げてもいい」
中高生の頃からあったマイノリティへの親近感
ーー人間の弱さに惹かれますか?
壇蜜:弱い人って見ちゃうんですよ。私は自分で決めることとか、情報に対応することが苦手で弱いんです。臨機応変に生きることができない。でも、逆に臨機応変に生きることはできても、上からの指示に従うしかないっていう弱い人もいますよね。みんなどこかしら弱いところがあると思うので、そこが垣間見えるとつい注目しちゃいます。
ーーなるほど。
壇蜜:中高生の頃、友達が趣味で小説を書いていたんですが、その子の書く小説に、私が一人キャラクターを加えていいことになって、私はゲイのサラリーマンを出しました。内容はほとんど忘れちゃったけど、彼女の書く小説には完璧な人達ばかりが出てくるんですよ、キムタクさんみたいな。だからマイノリティであるゲイのサラリーマンを登場させたんですが、「なんか違う」って友達に言われた記憶があります。その時に、やっぱり見ているものが違うんだって思いました。
ーーゲイのサラリーマンというキャラクターは、その物語のリアリティラインに沿うものではなかったんですね。
壇蜜:友達が書いていたのは高河ゆんさんの漫画のような世界だったんです。出てくる人がみんな美男美女で耽美。その世界にゲイのサラリーマンが登場したので、なんか違うぞってなってしまった(笑)。でも私にはその方が書きやすかったんです。
弱さを肯定したい
ーーその感性がこの小説の中で形にできたと思いますか。
壇蜜:そうですね。弱いところを切り捨てろとか、強くなれとか、弱いところを嫌悪する人も多いですが、弱い人同士が出会って、もっと弱いものを築き上げてもいいんじゃないかって思ってこの小説を書きました。自分の弱さを上手くやり過ごせちゃう人にこそ、読んでもらえたらいいなと思っています。読みやすさにこだわって書いているので、疲れずに読めるようにしたつもりです。
ーー書き終えて、ご自身の中で心境の変化はありましたか?
壇蜜:毎日レビューが気になります(笑)。でも書き終えて思ったのは、どうか次が出せますように、ちゃんと次を書く時間がもらえますようにということだけですね。
ーーではこれからも小説にチャレンジされるんですね。
壇蜜:そうできたら良いなと思っています。でも、これからも私の作品には強い人や万能な人は出てこない気がします。
ーーこの小説は結婚の話でもありますが、執筆してみて結婚観は変わりましたか。
壇蜜:小説だから、あえて「この人が死んだのは私のせいじゃない」っていうドライさを出しましたけど、書き終わった後に、私の結婚観はこんなにドライじゃないぞ! って改めて思い直しましたね。小説はドライに書きすぎたと思います。本当に恋愛結婚で結婚したら、一緒に出かけたりとか、もうちょっと楽しいですよ(笑)。
(取材=松田広宣/文=河野瑠璃/撮影=林直幸)
■書籍情報
『はんぶんのユウジと』
著:壇蜜
出版社:株式会社文藝春秋
定価:本体1450円+税
好評発売中
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163910789
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