『婚活迷子、お助けします。 仲人・結城華音の縁結び手帳』番外編

同棲中の男性の8割は結婚する気なし? 伝説の結婚相談所『結婚物語。』所長が語る、婚活のリアル

結婚したい女性と、できない男性。男女間に横たわる意識の違いとは?

――お話をうかがっていると、結婚を先延ばしにしがちな男性が多いなか、結婚相談所に入会を決めるというのは、女性以上にかなりの真剣度と覚悟があるのでは、という気がしたのですが。

苅谷:そうですね……。女性は「結婚したい」人が入会するんですが、男性はどちらかというと「結婚できない」人が多いんですよ。

――えーーーー。

苅谷:理由はいろいろありますよ。女性慣れしていない、社交性が低い、年収が低い、親がうるさい、あとは激務すぎるとか。女性はどちらかというと、「〇〇歳までに結婚したいなら今のうちに出会わなきゃ」「今の環境では出会いがないから相談所に入ろう」みたいなタイプが多いので、普通にかわいくて社交性のある人がたくさんいるんですが、男性の場合は「結婚したいなあ、でもいつまで経ってもできないなあ、じゃあ相談所入るか」という人が多いんです。

――スタートラインが全然違うんですね。

苅谷:そう。意識が違う。結婚相談所の成婚率ってだいたい30~50%なんですが、30%の人は放っておいても結婚できる人たちなんですよ。じゃあ、50%にあげるために僕たちが何をするかというと、男性のレベルアップ。結婚できない人、と言ったけど、致命的に何かがダメというより女性のことがまったくわかっていない、自分が相手にどう見られるかをさっぱり意識していない、ということも多いので、セミナーを開いてデータを参照しながら女性との接し方、店の選び方、服装などを一緒に勉強したりします。

――たとえばどんなことを学ぶんですか。

苅谷:そうですね……。男性は、初対面でも好きだと思ったら気持ちが急上昇するんですけど、女性には観察期間があって、相手がどんな人でもまずは警戒しながら様子見をするんです。素敵な人なら「なんでこの人が私に?」って思うし、ちょっと……な人なら「この人大丈夫か?」って思うし。で、警戒が溶けたらようやく恋愛対象に入る。好きになるのはそのあと。というのがわかっていないと、男性は一気に距離を詰めようとするから。必要ならば、LINEやメールのやりとりもアドバイスしますよ。

――手厚い……。

苅谷:もちろん、いつまで経ってもこちらのアドバイスを待つだけ、では困ってしまいますが、たいていはちゃんと学習して、失敗を重ねながらも変化していきますからね。逆に、自分の考えをかたくなに持ちすぎて、聞く耳をもってくれない人には何もできない。「俺はこれでいいんだ」「今のままで理想通りの女性と結婚したい」と言われても困ってしまう。「男だからって奢るのはおかしい」と思うのは自由だけど、女性だって永久に奢られ続けたいわけではないから、最初は奢って「じゃあ次は……」とつなげるほうがいいでしょう。というのをね、ちゃんと聞き入れてくれる人は、時間がかかったとしても結婚できると思います。

――逆に、女性で結婚しにくいのはどんな人ですか?

苅谷:出された料理をかたくなに食べようとしない人、かなあ。もちろん、もののたとえですけどね。見たことのない、あんまり好みじゃなさそうな料理も、一口食べたらめちゃくちゃおいしくてクセになるかもしれないでしょう。でも、「この人はどう?」って紹介しても、長男はいや、顔がちょっと、学歴がいまいち、と次々だめなところを見つけて、選択肢に入れようとしない人はやっぱり、出会うことができないから、時間がかかってしまいますね。その点、男性はね、写真さえよければ条件もあまり見ずに「会う!」って決めたりするから。そこもまた、男女差がありますね。

――過保護、のように見えますけど、そうしないと結婚できないということなんですね。

苅谷:ただ、勘違いしちゃいけないのは、僕たちの仕事は「結婚させる」ことではなくて、あくまで「結婚したい人のお手伝い」なんですよ。「こうしたほうがいいんじゃないかな」と言うことはできるけど「あなたは変わるべきだ」とか「こうしなきゃ結婚できない」と押しつけるたり脅したりするのは違う。会員のみなさんがどんな結婚をしたいのか、どんな未来を夢見ているのか、それを尊重するのがいちばん大事。でもときどき「私たちが結婚させてやるんだ!」という意識をもった結婚相談所もありますからね。そうすると、成婚率をあげるのが第一になって、強引に話を進められてしまうこともある。

――婚活がうまくいかないと、どうしても自分が高望みなのかとか、変わらなきゃいけないんじゃないかとか思ってしまいますしね……。

苅谷:もちろん、変わっていくことは大事です。男性も女性も、自分のどこが魅力的かわかっておらず、自己演出が間違っていることも多いですし、自分が本当はどういう人が好きなのか、頭で考えることと気持ちが食い違ったままの人も多い。僕たちはそこをうまいこと整頓しながら「この人だ」と思える人と出会うお手伝いがしたいんです。よく「恋愛と結婚は別」と言いますけど、僕にとっては、相談所で出会った人を「いいな」と思って、「もっと会いたい」「もっと話したい」「じゃあ結婚してずっと一緒にいよう」となるのが理想。なので、少しでも「結婚したい」「幸せになりたい」という気持ちがあるなら、カジュアルに相談所の扉を叩いてくれたらいいなと思います。

★苅谷さんから聞いたお話は、ここに書かれていないことも、小説のなかにエッセンスとして登場するかも……? どうぞお楽しみに!

(取材・文=橘もも)

参考:結婚相談所「結婚物語。」のブログ

■書籍情報
『夢を見続けておわる人、妥協を余儀なくされる人、「最高の相手」を手に入れる人。 “私"がプロポーズされない5つの理由』
仲人T 著
価格:1540円(税込)
発行/発売:大和出版

関連記事