LAUSBUBが語る『society|lazy』の二面性 社会との接点と自由な創造性で更新する“これからのポップス”

LAUSBUBが語る『society|lazy』の二面性

 ニューウェーブテクノポップバンド・LAUSBUBから2ndフルアルバム『society|lazy』が届けられた。

 7分を超えるシングル曲「golden lighter」、Prime Originalドラマシリーズ『クロエマ』主題歌「sign」、専門学校モード学園(東京・大阪・名古屋)2026年度TVCMソング「higher」、出演及び劇伴を担当した映画『炎上』のインスパイアソング「static crosswalk」を収めたDISC1。そして、Rico、Meiのクリエイティビティが発揮された10曲で構成されたDISC2からなる本作には、現在のLAUSBUBの両極端のスタイルーータイアップなどによる社会とのつながりと、2人の自由奔放な創造性——が端的に示されている。

 今回のインタビューではメンバー2人の音楽的ルーツ、バンド結成の経緯、本作『society|lazy』制作プロセスについてじっくりと語ってもらった。ポップミュージックの定義を更新しようとする、強くてしなやかな2人の在り方をしっかりと感じ取ってほしい。(森朋之)

不完全さの追求が生む唯一無二のサウンド

——まずはお二人の音楽的なルーツから教えてもらえますか?

Rico:はい。幼稚園の頃からピアノを習っていたんですが、中学生のときにYouTubeでYMOのライブ映像やMVを見て、そこからテクノミュージックに興味を持って。Cornelius、Buffalo Daughter、渋谷系のアーティストも聴くようになって音楽にのめり込みました。

Mei:私も幼少期から音楽が好きで、インターネットでいろいろな曲を探していたんです。電子音楽にも興味があったんですが、高校でRicoと出会って、YMOとかいろんなアーティストを紹介してもらってたくさんの音楽を聴くようになりました。

LAUSBUB(撮影=堀内彩香)
左からRico、Mei

——そこで意気投合して、バンドを結成。

Rico:最初は3ピースバンドをやろうとしてたんです。軽音楽部に入ったときに、基本的にそういう(ドラマーがメンバーにいる)組み方をしていたし、Meiちゃんと「あとはドラムだね」と話して。

Mei:とりあえず集まった3人でバンドを始めました。

Rico:最初にKhruangbin「Firecracker」(YMO)をカバーしました。『コーチェラ・フェスティバル』で彼らがYMOをカバーしているのを見て、それがすごくカッコよかったから......私のごり押しというか、付き合ってもらった感じです(笑)。

Mei:(笑)。「これをやりたいんだけど」ってYouTubeのリンクが送られてきたんです。カッコいいなと思った記憶がありますね。

Rico:Meiちゃんは当時からすごく優しかったんですよ。音楽の趣味もそうだし、あと食の好みも合って。

Mei:2人とも辛い物が好きだったんです。しびれ担々麺とか(笑)。

Rico:(笑)。なので最初はオーソドックスな3ピースバンドだったんですけど、コロナ禍に入ってから二人でやりはじめることになって。私がトラックを作って、Meiちゃんが歌を乗せる形になりました。

——「Meiさんが歌う」というのが大前提だった?

Rico:そうですね、声がすごくいいし、歌が上手いのは知っていたので、一緒にやるんだったらやっぱりボーカルとして歌ってほしくて。歌モノで影響を受けたのは、やっぱりCornelius。坂本慎太郎さんも聴いていたし、日本語の歌をかっこよく表現しているアーティストは意識してましたね。ただ、当時は思春期真っ盛りで尖ってたから(笑)、「あんまりガッツリ歌いすぎるのはイヤだな」という感じがあって。トラックと歌のバランスは、そのときどきで少しずつ変化していると思います。

——トラックメイクの機材は?

Rico:最初はiPadに入ってるGarageBandで作ってたんですよ。ボーカルもiPadについてるマイクで録ったり。

Mei:「とりあえずやってみよう」という感じですごく楽しかったんです。作った曲をSoundCloudにアップしたんですけど、「自分の歌が乗ってる曲を誰かが聴いてる」という状況も初めてだったし、それも嬉しくて。

——しかも「Telefon」がバズったことをきっかけに、LAUSBUBの存在も広く知られるようになって。

Rico:バズる前から札幌の同世代の友達から「すごくいいね」って言ってもらってたんですよ。そういうローカルなつながりが外に広がったというか、自分たちの熱意がちゃんと届いたのかなと。

Mei:でも全然実感は湧かなかったですね、その頃は。もちろん嬉しくはあったんですけど。

Rico:あとはずっと聴いてたアーティストからフォローバックしてもらったり。Meiちゃんがボーカルで参加したパソコン音楽クラブのお二人もそうですね。先にSNSなどでつながって、現場でお会いしたときに「あのときはどうも」みたいな(笑)。

LAUSBUB - Telefon (Official Video)

——高校卒業後は大学に進学。音楽活動とのバランスはどう考えていたんですか?

Rico:音楽は一生継続するものとしてありつつ、そのときに持てる選択肢というか、大学とか就職は一通りやろうというスタンスでしたね。芸術系の大学だったんですけど、音響の研究をやっていました。「これだけやっていたい」というくらい面白かったし、そこで得たものは「golden lighter」や今回のアルバムにも活きていますね。

Mei:LAUSBUBはずっとやっていこうと思っていたんですが、いきなり音楽1本とはなれないし、選択の幅を持ちたくて。大学に入学してからはライブハウスやクラブにも行けるようになって、ちゃんと音楽を好きになれる時間があったのもよかったなと思ってます。

Rico:札幌のクラブシーンの人たちともつながりを持てたし、学べることも多かったです。

LAUSBUB - golden lighter (MV with Gemini)

——いろいろな経験を積んで、それをLAUSBUBの作品につなげる。そのプロセスは今も続いてますよね?

Rico:そうですね。理論とかツールは完璧なものを追求するためにあると思うんですけど、AIの発達もあるなかで、今は「不完全なほうに振り切る」ということが好きで。技術的なことは誰かに助けてもらうことを期待しつつ、今の私たちの感性や環境を活かして、理論では思いつけないことをやりたいんですよね。完璧にキレイなものではなくて、ちょっと汚してみるというか。そういう不完全さをあえて作ってみたいと思っています。

——人間っぽさ、エラーの部分に焦点を当てるというか。

Rico:ヒューマンエラーですよね。普通はダメな意味で使われることが多いタームですけど、昔のインダストリアルミュージックとかボディミュージックを聴くと、エラーがあるから面白いという感じもあって。そういうところに人が音楽をやる意味があるんじゃないかなと思うし、自分たちもそういう音楽を作っていけるタイミングなのかなと。

Mei:映像にも興味があって。自分たちのライブでもVJが重要ですし、切り離せない関係だと思います。

Rico:映像、ビジュアル、SNSの投稿もそうですけど、音楽を取り巻くすべてのことが大事だなと思ってるんですよね。それが自分たちのフィーリングや雰囲気を伝えることになるんじゃないかなと。ファッションとか、どんなものを着ているかによっても、音楽から伝わる文脈が変わってくると思います。

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