WOLF HOWL HARMONY、BE:FIRST、KO1KEYZ、PSYCHIC FEVER…タイ在住ライターが紐解くボーイズグループのアジア展開

WOLF HOWL HARMONY、日本とタイをつなぐ存在へ――現地で見えた確かな広がり
2026年8月28日から30日まで、タイ・バンコクで開催された『バンコク日本博2026』。前年は15万人以上を動員した、タイ最大級の日本文化イベントだ。会期中、WOLF HOWL HARMONYは「Thailand–Japan Friendship Honorary Award 2026」を受賞。さらに、公式テーマソング「วาดฝัน(未来を描いて)」をPSYCHIC FEVERの小波津志(KOKORO)とともに歌唱し、29日にはメインステージで単独ライブも行った。GHEEはかつて「海外のファンとLDHのアーティストの架け橋にもなりたい」というコメントを寄せている(※1)。だが、今回のWHHの動きを追っていくと、“架け橋”は理想ではなく、すでに現実のものになりつつあることが見えてくる。



それを象徴するのが、GMMTV所属アーティスト・FLIOとの日タイ混成グループ「WOLF & WANDER」だ。母体はLDH JAPANとタイGMM Musicの合弁会社「G&LDH」。WHHの4名とFLIOの3名からなるこのグループは、2026年4月に始動を発表し、ドキュメンタリー「CLOUD DREAM project by G&LDH」も配信された。7月17日には日本語・タイ語・英語の3カ国語によるデビュー曲「Better Life」をリリースし、26日にはバンコクの音楽フェスでデビューステージに立っている。タイでも高い人気を誇るFLIOとの活動は、日本のアーティストが海外へ音楽を届けるという従来の枠を越えている。3カ国語を行き来する「Better Life」が体現するように、WHHの活動は、日本とタイ双方を起点にしながら、その間を自在に行き来する段階に進んでいるのだ。
WHHは2025年にも、アジアのエンタメ/カルチャーを讃える国際的アワードイベント「ASIA TOP AWARDS」でBest Boy Group賞を受賞している。歌唱力とタイ文化への敬意が評価された実績であり、今回の受賞とテーマソング歌唱も、その歩みの上にあるだろう。筆者はタイ在住のT-POP(タイポップ)ライターであるが、「WOLF & WANDER」の母体となるG&LDHのローンチ記者会見に参加した2024年7月のことを今でも鮮明に覚えている。タイでの展開がまだ限定的だった段階にもかかわらず、会場にはタイ人ファンが数多く詰めかけていて、その熱気に驚かされた。以来、タイの音楽フェスでLDH所属アーティストを何度か見かけてきたが、そのたびに印象的だったのは、遠征してきたと思しき日本人ファンの数の多さ以上に、WHHがいつの間にかタイの人々にも受け入れられていたことだった。

その積み重ねの先で起きたのが、29日の『バンコク日本博2026』での単独ライブだ。客席の大半はタイ人ファンで、あらかじめ楽曲を予習してきたと思しき観客も多かった一方、来場をきっかけにステージを見に来たような観客の姿もあった。そんな客席のハートをがっちりと掴んだのが、最新シングル「ココニイル」の歌唱だった。日本語詞の楽曲を、スクリーン上の歌詞補助も派手な演出もなく、4人の歌声だけで届ける。歌い終えたあと、客席は割れんばかりの拍手と歓声に包まれた。それは次の楽曲が始まるまでの長い間、ずっと鳴り響いていた。その光景に、筆者は強く胸を打たれた。メンバーは現地でのコミュニケーションに必要な英語やタイ語を身につけているが、この瞬間に証明されたのは、それ以前に“歌そのもの”が言葉の壁を越えて客席の心を掴んだ、という事実だ。


G&LDH始動時から今回のステージまでを振り返れば、WHHが積み重ねてきたのは、日本からタイへ音楽を届けるという一方通行の実績ではない。タイのアーティストと作品をともにつくる一方で、日本語の楽曲だけでもタイの観客の心を掴んでみせた。日本でもタイでも、人の心を動かすことができる。その両方に立てることこそ、「架け橋になりたい」と語る彼らの強みなのだ。日本語の歌がタイ語の歓声に迎えられたあの夜の光景こそが、何よりの証明だろう。この先、WHHがどんな景色を見せてくれるのか、楽しみでならない。

※1:https://lp.p.pia.jp/article/news/461975/index.html?detail=true

























