go!go!vanillasが『東京リベンジャーズ』ED曲「トリックスター」に注いだ“熱さ” 今の時代に刺すロックスピリッツの真価

10月2日から放送がスタートするTVアニメ『東京リベンジャーズ』三天戦争編(MBSほか)のエンディング主題歌に「トリックスター」を書き下ろしたgo!go!vanillas(以下、バニラズ)。2024年にIRORI Recordsへ移籍してからのアルバム『Lab.』、昨年のEP『SCARY MONSTERS EP』と、そのリリースに伴うホール&アリーナツアーのプロセスを踏みながら、音楽性の拡張と今の時代におけるロックバンドの存在意義を体現してきた。そんな彼らがロックファンのその先へロックを届けるタームが、今と言えるだろう。今回は“バニラズ9”と称するアディショナルミュージシャンとの『go!go!vanillas SCARYMONSTERS TOUR 2025-2026』、その結実としてのシングル「フォーリン」を経た、今夏のアンセム「THE WALL」、そしてシングル『トリックスター』についてメンバー全員に話を聞いた。(石角友香)
9人編成のツアーで磨かれたアンサンブル 「フォーリン」「宝石」へ繋がる学び
ーーまず『go!go!vanillas SCARY MONSTERS TOUR 2025-2026』を振り返って、バンドにフィードバックされたものを教えてください。ちなみに、ライブ映像にもなっているTOYOTA ARENA TOKYO公演を拝見したんですが、牧さんがMCで「リアルに感じることを大事にして」と何度か話していたことが印象的でした。
牧達弥(Vo/Gt)(以下、牧):ホールツアーをまわってからのアリーナ公演だったので、規模感は違えど見るスタイルが割と近くて。自分たちもしっかりとお客さんを見ることを意識したゆえに、いつもより表情だったり、「この曲こういう風に聴いてるんだ」と俯瞰できる瞬間が多くあったんです。アリーナはその集大成というか、割とホールの時と同じ感覚があったので、肩の力を抜いてやれたからこそ自然体でお客さんに言葉を向けられたのかなという感じはします。
ジェットセイヤ(Dr)(以下、セイヤ):俺、ぶっちゃけ今、ホールの方が好きなんですよね。曲もしっかり伝わるというか、席があるし、音も落ち着いて聴けるじゃないですか。楽曲をしっかり届けるという点ではホールっていいなと思ってます。もちろんライブハウスでもやるし、どっちでもできる強みがあるなと思います。
柳沢進太郎(Gt)(以下、柳沢):(アディショナルミュージシャン含めて)9人で演奏する中で音の棲み分けとかを考えながらやったので、本当にいろんなことが勉強になりました。たとえばキーボードがこういうフレーズを弾いている間は自分はどう弾いたらいいかとか。そういうことを学べたのは今後のアレンジとかに活きてくると思います。
――大所帯のステージは過去にも武道館や幕張メッセで経験していますが、さらにツアーで深まりました?
柳沢:そうですね。今回はキーボードが分業スタイルで、オルガンを弾くかピアノを弾くかを完全に分けたのもあって、1曲を通してずっと耳の中に聴こえてくる変わらないサウンドがあったので、そこが一番勉強になったかもしれないですね。その前はスワップしたりも結構あったので、「今どっちが何を弾いてるんだろう?」っていうのを演奏中だと集中しては聴けてなかったりしたんですけど、今回は完全にセパレートされてたので。あとはフィドルが入ると、弦楽器なので、ギターと棲み分けすることがすごく大事だなと感じました。その学びがこのシングルに入ってる「宝石」っていう曲に繋がったかなと思ってますね。
長谷川プリティ敬祐(Ba)(以下、プリティ):ライブハウスでやる時は最前のお客さんとの距離も近いし、押し寄せるお客さんにとにかく熱をぶつける感覚だったんですけど、ホールとアリーナは少し距離もあるし、しっかり皆さんと全体を見ることができるので、僕もそこで熱をぶつけるのではなく、楽しい時に「楽しいよね! だよね!」っていう感情を自然に投げかけることができて、そこはライブハウスと違って良かったと思いますね。

――レーベル移籍からアルバム『Lab.』の頃はバニラズの音楽性の幅を表現することにフォーカスしてた印象があったんですが、このツアーではさらにその先に行った印象がありました。
牧:そうですね。go!go!vanillasって一つのバンドでしかないですけど、“go!go!vanillas”っていう概念みたいなものは、バンドという枠組みを超えて感じ取っているものだと思うんですよ。ロックバンドが好きじゃない人も当然どこかで聴いてくれたり、ライブに足を運んでくれたりするわけじゃないですか。ただ曲が好きっていう人もいる中で、すべての人になるべくフラットな気持ちで届けることが、アリーナとか大きい会場でみんなの心の中に良き思い出をたくさん残せることにも繋がる気がするので。
――ツアーファイナルで「フォーリン」が初披露されて。ホーンが前に出たツアーの最後にやる納得感がある曲でした。
牧:ひとつの集大成として、このツアーの最後に、アレンジャーとしてではなく楽曲から入って全員が演奏できるような形を目指して作れて良かったです。
名刺代わりのアンセム「THE WALL」に込めた“自分自身を超える”覚悟
――その後8月に「THE WALL」が出ました。そこからはバンドとしてモードが変わったところはありましたか?
牧:ありますね。やっぱりアリーナツアーは自分たちの“文化祭”じゃないですけど(笑)、アディショナルメンバーって最初は(井上)惇志(Key/fromshowmore)から始まって、そこから友達が友達を呼ぶ感じで仲間が増えて。(山田)丈造(Tp)もそうですが、プレイヤーとしても尊敬していますけど、その前に友達になるっていう形だったんです。だから、もちろん力も借りていますが、友達と一緒に作り上げた一個の大きいお祭りっていう感覚があったので、これをずっと引きずるのもちょっと違うなあっていうか。
――仲間がいる場所は安心できますからね。
牧:それまではアディショナルメンバーにフォーカスしたり、音楽的なエッセンスを強めに入れたりしてたんですけど、フェスにいっぱい出る中で、やっぱりロックバンドのいいところって即効性の高さや熱量だなと思ったんです。音楽のことをそんなに知らなくても無条件で奮い立たせられる力がロックにはあるなと。その中で、ライブで何を自分たちの強みとして見せたら新たな出会いに繋がるのかを考えながら、バニラズがどういうバンドかを知ってもらう名刺代わりになる曲を夏フェスのタイミングで作りたいなと思っていて。培われたノウハウを1回なくして自分自身も新たな進化を夢見ながら作り上げていったので、自分への鼓舞というか、これからの自分に対して「やったろう」っていう気持ちになる曲が出来上がった感じですね。

――確かに歌詞は、今越えなければいけないことがあるということを歌ってますね。
牧:一カ所にとどまるのが苦手な人間なので、バンドを始めてから常に何もない新天地を耕して「あ、芽が出た! じゃあもうここはOKだ」って次に行く、みたいなことをやってきたからこそ、さっきの“一個の帰る場所”じゃないですけど、バニラズ9には時間が経った時に戻ってくるのがいいんだと感じて。「また旅に出なきゃ」みたいな感覚になったんですよ。そこで“自分自身を超える”っていうのが今一番、僕自身も抱えてる課題というか。そこをテーマに曲作りに挑んだ部分があったので、「THE WALL」はそういう歌詞になってますけど、でもそれは常になんです。ありがたいことにアリーナとか大きい場所にお客さんがたくさん来てくれることを経験してこれたので、そういう人たちの顔を浮かべながら「一緒に頑張ろうや」っていう思いで作れました。
――最近の楽曲の中では珍しく素朴というか、シンプルな印象を受けて。だからと言って過去の曲とも違う、ナマの楽器の鳴りが印象的な曲でした。
柳沢:まさにその感じでバンドサウンドのカッコよさを聴いてもらえるように、楽器も選びましたし、フレーズだったりも一緒に考えてできました。最近の中で一番いい感じに、やりたいこととやらなきゃいけないことのバランスがとれた楽曲かなと思います。
ーーベースも、耳で聴いてるだけでも空間が揺れるというか、それぐらいローが強力に鳴ってますよね。
プリティ:僕も録ってる時はミックスがこういうふうになることを想定してなくて、びっくりしました(笑)。

牧:ベースとドラムの骨太さを一番意識しましたし、ボトムの聴こえてくる面積もかなり大きい曲にしたかったので、それがミックスの方向性になったのかなと思います。
――ロックをどういうテクスチャーで聴かせるか? という部分ですね。
牧:そうですね、まさに。この時代にどう聴かせるか? っていう。
セイヤ:いま思い出したんですけど、「THE WALL」って最初は曲調違ったよね?
牧:あー、確かに。そうだね!
セイヤ:もっと8ビートみたいな感じだったのが、このビートパターンに変わって、わかりやすく言うとバニラズらしくなったというか。「エマ」の進化系、じゃないですけど。ギターロックっぽいリフも入ったりして今の形になりました。



















