乃木坂46、試練の夏を越えて 一ノ瀬美空の涙、遠藤さくら&賀喜遥香の名演、6期生の躍進……『全ツ2026』を振り返る
葛藤を乗り越え、未来へと繋ぐ新世代の覚悟
そして、最新シングル『是非に及ばず』で初めてシングル表題曲のセンターに立ち、夏のツアーで初座長も務めた5期生・一ノ瀬美空の活躍ぶりも忘れてはならない。過去には同期の井上和が夏ツアーの座長を経験しているが、この期間での彼女の急成長には目を見張るものがあり、各地のステージで経験を積み重ねてきたことで、神宮ではツアー序盤の横浜から見違えるほどの頼もしさを見せていた。また、ライブ終盤の長尺MCでのメッセージからも一切の淀みが感じられず、先頭に立ってメンバーを引っ張っていこうとする気概も伝わってきた。
最終日のMCでは「私は、このツアーが始まるときにひとつ目標を立てました。それは、ここにいるメンバー全員がこの夏のツアーを通して個性と自信の花を新しく咲かせるというものです。乃木坂46のメンバーは日の当たるところもあれば、真っ先に誰かに譲ろうとしたり、踏まれようとしたら自分が庇ってあげようとするようなそんな愛に溢れたお花畑のような場所だなと思います。だけど、周りに綺麗なお花がたくさん咲いていると、自分のことが見えづらくなって、自分の個性とか魅力に気づけていない子も多いんじゃないかと思うんです。私はみんなが頑張ってきたこととか、今も踏ん張り続けていることとか、その子にしかない個性とか魅力をたくさん知っているからこそ、そんな愛に溢れたメンバーが自分に自信をなくすような瞬間があってほしくないなと思ってしまいます」と、仲間たちに対する愛情をにじませつつ、「乃木坂46にはまだまだ咲かせることができる花がたくさんあります。まだ種を蒔くことができる場所がたくさんあります。花は咲いて終わりじゃなくて、その花を見つけてくれる人がいて、その美しさを誰かに伝えてくれる人がいて、そうやってたくさんの人に見られて愛されるからこそ、咲き続けると思います。今、乃木坂46に希望を持ってくださっている皆さん、期待をしてくださっている皆さん、どうかこれからの乃木坂46を信じてほしいです。今の私たちには皆さんが必要だし、これからの乃木坂46の未来を皆さんと一緒に作っていきたいです」と涙ながらに宣言してみせる一幕もあった。「役割が人を育てる」とよく言われるが、一ノ瀬も重責を感じる役割を担うことで、アイドルとして、そして人間として数段レベルアップしたことは間違いない。
さらに、そんなメンバーを時に先頭に立って牽引し、時には後方からずっしりと支えるキャプテン・菅原の奮闘ぶりも忘れてはならない。現在20歳の彼女が、先輩もたくさんいる環境下で乃木坂46という大きなグループを背負うことは、当然のように莫大なプレッシャーを伴う。泣き虫のイメージが強い彼女だが、おそらくキャプテンに就任した時点で、自身の中でその涙を封印して困難に立ち向かう……そう覚悟を決めたのかもしれない。でも、そんな彼女の周りには優しくて百戦錬磨の先輩たちと、彼女に肩を貸し、同じ目線で並走する同期、新キャプテンを慕う後輩たちがいる。特に、年齢の近い4期生や同期の面々が、さまざまな場面で菅原をサポートしているのだろう。DAY4最後のMCでは、賀喜が「環境的には先輩がいることって大変だと思う。なのに、しっかり締めてくれて。どんなときでも明るくいてくれて、そんなさっちゃんにこの夏たくさん助けられた」と菅原を労う場面もあり、ここではさすがに菅原も感涙。座長の一ノ瀬も「ツアーを通じて、さっちゃんにはたくさん助けられた」と涙ながらに伝え、2人でハグする一幕もあった。
仲間たちに支えられながらキャプテンの役割を全うする菅原の姿は、どこか初代キャプテンの桜井玲香と重なるものがあり、菅原と一ノ瀬の関係性も初期の桜井と生駒のように映った……と感じたのは、筆者だけだろうか。時代によって変化を繰り返す乃木坂46において、この見覚えのある関係性を再び感じられたのは、個人的には大きな収穫だった。
菅原は公演の最後に「どんなときも不安な気持ちも怖さもすべて自分たちの力に変えて、ここまで走り切ることができました。ここにいる最強の味方の皆さんとこのメンバーとなら、どこまでも、いろんな景色を見れると信じています。これからの乃木坂46の未来を必ず作っていきます、必ず守っていきます」と、涙を浮かべながら宣言したが、試練の夏を乗り越えた今、この経験が今後どう花開くのか。そして、来年2月から始まるデビュー15周年イヤーでどんな活動を展開するのか。結成時から追い続けた身として、ここからもしっかり見守っていきたい。
■セットリスト
『真夏の全国ツアー2026』
8月23日@明治神宮野球場
00. Overture
01. ガールズルール
02. ジコチューで行こう!
03. 好きというのはロックだぜ!
04. 自惚れビーチ
05. 告白したい病
06. 逃げ水
07. 太陽ノック
08. オフショアガール
09. 不道徳な夏
10. 夏のFree&Easy
11. ロマンティックいか焼き
12. チートデイ
13. 命の色
14. おまえら
15. マグカップとシンク
16. フォルテシモ
17. 日常
18. Actually...
19. 最後に階段を駆け上がったのはいつだ?
20. ひと夏の長さより…
21. 君の名は希望
22. 真夏日よ
23. 裸足でSummer
24. スカイダイビング
25. おひとりさま天国
26. 是非に及ばず
アンコール
EN1. 空扉
EN2. I see...
EN3. ビリヤニ
EN4. 君ばかり
EN5. 乃木坂の詩