稲垣吾郎&草彅剛&香取慎吾「ここまで歩いてきた道を思いながら歌いました」 3人が語る「雨あがりのステップ」への想い

稲垣&草彅&香取『パラ五輪』イベント登壇

 稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾が8月30日、東京国際フォーラムで開催された『東京2020パラリンピック 5周年記念スペシャルステージ』にスペシャルゲストとして登場した。世界的なパンデミックに見舞われながら試行錯誤の末に開催された『東京2020 夏季オリンピック・パラリンピック』(以下、『東京2020大会』)。あの日から、東京は、日本は、そして私たちはどう変わっていったのか。その歩みをあらためて振り返るイベントだ。

 ステージ中央には、『東京2020パラリンピック』で選手たちに贈られたビクトリーブーケをモチーフにした巨大な装花が据えられていた。モチーフとなったビクトリーブーケには、東日本大震災からの復興への願いを込め、宮城県産のバラ、福島県産のトルコギキョウ、岩手県産のリンドウ、東京都産のハランが用いられている。中央のバラはアスリート、周囲の花々はアスリートを支える人々、ハランはボランティアやスタッフを表したものだ。

東京2020パラリンピック 5周年記念スペシャルステージ

 時間になると『東京2020大会』公式マスコットのミライトワとソメイティが登場し、「パプリカ」(Foorin)に合わせて踊り、5年前の記憶を会場に呼び戻した。小池百合子東京都知事、国際パラリンピック委員会(IPC)のアンドリュー・パーソンズ会長も挨拶に立ち、会場にはフォーマルな式典らしい緊張感が漂う。そんな空気をやわらげたのが、IPC特別親善大使を務める稲垣、草彅、香取の3人だった。なかでも率先して場をほぐしていたのは香取だ。マイクを手にすると、「やっとフリーで喋れるね。ずっと厳かな音楽が流れてるから、あんましゃべっちゃいけないのかなって」と、少しおどけたように切り出す。その言葉に、誰もがふっと心が緩み、自然とステージにも客席にも笑顔が広がっていくのを感じた。

5年で変わったこと、まだ変えていけること

 ステージには、谷真海選手(パラトライアスロン)、池崎大輔選手(車いすラグビー)、根木慎志さん(車いすバスケットボール元日本代表/パラ応援大使)も登壇。『東京2020大会』からの5年間で、日本の社会にどのような変化が生まれたのかを語った。

 当事者の声を取り入れて整備されたバリアフリー設備や、子ども向けのパラスポーツ体験教室など、『東京2020大会』を機に、街や教育現場で広がってきた取り組みを紹介。行政だけでなく、企業やスポーツクラブなどさまざまな団体が、それぞれの立場からパラレガシーの定着と発展を支えていることが伝わってきた。

 とりわけ会場を沸かせたのは、谷選手による競技用義足でのランニングや池崎選手の車いすでのタックルなどのデモンストレーションだった。普段からランニングをしている稲垣は谷選手のフォームを「美しい!」と声をはずませ、草彅も「体幹が素晴らしい」と絶賛。谷選手は、街なかでも走っているので、気軽に「頑張れ」と声をかけてもらえるとうれしいと率直な思いを語る。海外に比べると日本の応援はまだ「控えめ」だとも。パラスポーツとの距離はもっと縮めていけるのではないかと話した。

東京2020パラリンピック 5周年記念スペシャルステージ
香取慎吾&池崎大輔選手

 また、日常では「ぶつかってはいけないもの」とされている車いすが激しく衝突する車いすラグビーのタックルの実演は、あまりの迫力に会場からどよめきが起こるほどだった。数々のパラスポーツに触れてきた香取は、「僕も池崎選手に当たってもらったことがあるんです……もうしたくない(笑)」と笑いを誘いながら、デモンストレーションを盛り上げた。スピード感も衝撃音も、生だからこそ感じられるものがある。こうしたイベントやデモンストレーションを通じて、より多くの人にパラスポーツを目の前で楽しんでもらえるように活動を続けていきたいと語る選手たち。さらに、根木さんが「人と人とをつなぎ、変えていける力が『パラリンピック』にはある」と訴える。そんな彼らの言葉にパーソンズ会長も、現状の変化をゴールとせず、「もっと何かできるのではないか」という意識が未来に向いていることそのものが、日本に根づいたパラレガシーだと語った。

歌うたびに育つ「雨あがりのステップ」

 イベント終盤には、待ちに待った3人の歌唱パフォーマンスも行なわれた。披露したのは、パラスポーツ応援チャリティーソング「雨あがりのステップ」。同じ曲を歌いながらも、3人が見せる表情はそれぞれ。香取はパーソンズ会長やパラアスリートたちのそばへ歩み寄り、一緒にリズムを取りながら、周囲を自然に巻き込んでいく。草彅は胸に手を当て、目を閉じ、歌詞の一つひとつをかみしめるように歌う。稲垣は大空へ手を伸ばすように腕を広げ、その先の未来へ思いをはせるように声を届けていた。三者三様の表現を見せながら、最後の〈新しい青い空!〉というフレーズでは、3人が同じタイミングで手を高く掲げた。その瞬間、違う歩幅で歩いてきた3人が、同じ未来を見上げているように見えた。

 終演後、囲み取材に応じた登壇者たち。なかでも、パーソンズ会長がパラアスリートの活躍や大会を支えたスタッフの献身に感謝を伝えたうえで、稲垣、草彅、香取の特別親善大使としてのプロモーション活動に「IPCを代表して心の底から御礼を申し上げたいと思いますし、この3人ぐらいのレベルの方たちが各国においても、パラリンピックムーブメントに関わってくれることを願っています」と最大級の敬意を表した。「光栄です。逆にこちらが、こうやっていつまでも関わらせてもらえてるっていうのが幸せなことで。もっと頑張ろうって思います」と笑顔を見せる香取。「少しでも力になれるように、お言葉をいただいたので、自分にできることを努力していきたい」と真摯に受け取る草彅。「まだまだ声にならないような声とかっていうのも、社会にはいろいろあると思うので。僕らなりにこれからもこういう活動をしていきたい」と静かに熱を込めて語った稲垣。その受け止め方にも、彼ららしさがにじんでいた。

 「雨あがりのステップ」が初披露されたのは、2018年の『パラ駅伝 in TOKYO 2018』。あれから8年余り、さまざまな場所で歌い継がれてきた。この日、どのような思いで歌ったのかを尋ねると、香取は「もうずっと歌ってきたんですけど、パラスポーツへの思いの歌でもありながらも、この5年間の自分たちの思いとか、いろんなものが詰まった歌になってて。いつも歌うたびに『今日はこの部分の歌詞がなんだか胸にグッと来たな』とか、いつも違うんですけど、今日もあらためて皆さんの前でやっぱり『パラリンピック東京大会』を思い出して、その頃からのパラスポーツへの思いとともに、自分たちがここまで歩いてきた道を思いながら歌いました」と話した。

 続いて、草彅も「慎吾ちゃんが言う通り、本当にグッとくる歌詞で、僕らのリアルな新しい地図を広げたときの感情ともすごくリンクする歌詞だったりするので。僕ら3人のテーマソングというか、いつになっても、この先もずっと歌えるというか。自分を鼓舞してくれるような歌なので、これからも大切に歌っていきたいなって思いました」と噛みしめる。稲垣は初めて3人で歌った日のことを思い出しながら、「それから時間が流れていき、ファンミーティングもそうですけれども、こういったイベントでも歌わせていただいて、やっぱりこの曲はお客さんが目の前にいて歌うことが最高にマッチするし、そこでやっぱ育っていく曲だなってあらためて今日実感しましたね。雨が降らない人生なんてないじゃないですかね。ちょっとした雨でも小雨でもね、嵐でも。でも、そんななかでこういう希望を感じさせてくれるこの曲は本当に素敵だなと思うし、やっぱ皆さんとともに作り上げてきた僕らの大切な曲です」と語った。

 そこで、この日もっともグッときた歌詞を尋ねると、3人で言葉を交わした末、香取が〈新しい青い空!〉を挙げた。ちょうどそのフレーズは、歌唱中に3人が同時に手を掲げた場面でもあった。そのことを伝えると「一緒でしたか」、「じゃあ気持ち揃ってたってことだね」、「合うね」、「初めて合ったな」、「奇遇だね」と3人ならではのやりとりを繰り広げて報道陣にも笑いを届けるのだった。

 イベントは屋内だった。それでも、稲垣は「きれいな空が広がってる感じが本当に見えますよね。今日も見えました」と笑った。この歌を歌うたびに、彼らと一緒に見上げる新しい空。それは完成した成果ではなく、これからも声をかけ、応援し、振り返り、また次へ進むなかで育て続けるレガシーそのものだ。

稲垣吾郎&草彅剛&香取慎吾、巻き起こす勇気の循環 「僕も負けてらんないね」――“進む厳しさ”を知るからこそ響く歌

稲垣吾郎&草彅剛&香取慎吾が「雨あがりのステップ」をきっかけに巻き起こす勇気の循環を紹介する。

香取慎吾と森且行、“エールの往復”の先にあるもの SMAPの絆ーー「がんばります」の言葉に押される背中

香取慎吾と森且行の“エールの往復”の先にあるものを考える。

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ニュース」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる