大森元貴、INI、CUTIE STREET、tuki.、SIX LOUNGE、すりぃ……注目新譜6作をレビュー

New Releases In Focus

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回は、大森元貴「灰色」、INI「You Know What To Do」、CUTIE STREET「Top of the top」、tuki.「バブル」、SIX LOUNGE「K/// ILL YOU」、すりぃ「地獄のロマン」の6作品をピックアップした。(編集部)

大森元貴「灰色」

 映画『白鳥とコウモリ』主題歌となる書き下ろし新曲。静かなストリングスと悲しげなメロディから始まるミドルバラードで、暗闇の中に差し込む柔らかな光、荘厳さの中に入ってくる凶暴なノイズなどの対比がかなり強調されている。黒とも白とも言い切れない世界観はまさにタイトルどおり。Mrs. GREEN APPLEの時はめくるめくエンターテインメントを演出できる才能であるが、ソロになると大森元貴の楽曲は拭えない孤独や悲しみが特に色濃く出てくるよう。原作がかなり複雑なストーリーなので歌詞も当然わかりやすくはないのだが、すれ違う思いや叶わない願いをドラマティックに歌い上げながら、〈哀〉と〈愛〉と〈灰〉の押韻で静かに幕を下ろす締め方が見事。(石井)

Motoki Ohmori -「灰色」Official MV

INI「You Know What To Do」

 結成5周年のアニバーサリーの幕開けとなるニューシングル『ANTHEM』のタイトル曲。軽快にしてしなやかなトラック、飛び跳ねるようなメロディ/ラップを軸にしたダンストラックに仕上がっている。作詞にはメンバーの西洸人と後藤威尊が参加。怖いものなどない、未来に向かって一緒に踏み出そうと呼びかけるリリックは、シングル全体の「The Anthem of New Horizons/その先へ。君と一緒なら、僕らはためらうことなく走り出せる」というテーマと完璧にリンクしていて、リスナーの背中を気持ちよく押してくれる。5年という時間の中で培ってきたファンとのリレーションシップをさらに強めながら、新たなフェーズへと足を進める彼らの今を捉えた楽曲と言えるだろう。(森)

INI|'You Know What To Do' Official MV

CUTIE STREET「Top of the top」

 デビューからわずか2年、8月25日、26日にキャリア初の日本武道館公演を開催したCUTIE STREET。当日CD販売され、ステージでも披露された新曲がこちら。デビュー曲にしてグループの座右の銘でもある「かわいいだけじゃだめですか?」路線を踏襲したアッパー系自己肯定ソングではあるが、今回はファンの存在を強く意識した歌詞が印象的。〈君のためと自分のためと半分半分〉〈大歓声がBGM そんな姿がお似合いです〉〈感動の嵐をください!〉などのフレーズは会場で聴けば鳥肌モノだろう。なお、作詞作曲、編曲は-amazuti-の安部大希と宮崎諒。超ときめき♡宣伝部などでも知られるこのタッグ、近年アイドルソングの新しい潮流になってきた。(石井)

【実演】CUTIE STREET「Top of the top」エール紹介動画

tuki.「バブル」

 瑞々しさと躍動感が伝わるビート、シャープな手触りのギターカッティング、直線的なグルーヴを描き出すベースが響き合うサウンドの中で広がるのは、〈弾ける恋ならそれでもいい/泡になるまで笑っていたい〉というライン。今感じている感情や衝動は、次の瞬間には消えてなくなるかもしれない。今は今しかないし、すべては変わってしまうのだから、後先のことに囚われず、その感情を大切にして生きてほしい――「バブル」に込められたメッセージは、tuki.と同世代のリスナーはもちろん、周りの評価を気にしがちなすべての現代人に向けられていると思う。真っ直ぐに言葉を届けることに心を砕いたボーカルも最高。人気少女漫画『ハニーレモンソーダ』(集英社)の作者・村田真優が、この楽曲にインスパイアされて描き下ろした読みきり漫画が展開されるMVも必見だ。(森)

tuki. 『バブル』Official Music Video

SIX LOUNGE「K/// ILL YOU」

 最新アルバム『逆夢』の冒頭を飾るロカビリーナンバー。最初と最後に入ってくる派手なホーンアレンジが、今のバンドの上昇気流を表している。〈君の街へ今夜ROCK’N’ROLLが乗り込む〉という歌い出しは、今後どの街のどんなライブでも通用する殺し文句になるのだろう。殺し文句とは本人が照れたり茶化したりしている限り成立しないわけで、〈今夜の三日月は俺が/かっさらってくぜ〉などのフレーズを畳み掛けてくるナガマツシンタロウ(Dr/Cho/主に作詞担当)は今どき稀有なロック詩人と言える。彼の言葉を受け止め、ケレン味たっぷりに歌いこなすヤマグチユウモリ(Gt/Vo)の表現力もいい。分業制で成立するバンドならではの強みがある。(石井)

K/// ILL YOU

すりぃ「地獄のロマン」

 どんな裏切りや別れを経験しても、たとえ出会った場所が地獄であろうとも、〈あなた〉といつまでも踊っていたい。「CATCH!!!」「チューインガム feat. KANA-BOON」に続く新曲「地獄のロマン」は、究極のロマンチシズムと称すべき世界観を描き出したアッパーチューン。一瞬で耳を奪われるキャッチーなイントロ、一気にスピードを上げる研ぎ澄まされたビート、緻密にしてポップなギターアンサンブルなど、すりぃのクリエイティビィの高さをたっぷりと反映したサウンドメイクも素晴らしく、圧倒的な中毒性を備えた楽曲に仕上がっている。中心にあるのは、切なさと刹那的な快楽を併せ持ったボーカル。そう、シンガーとしての進化を実感できることもこの曲の魅力だ。(森)

すりぃ / 地獄のロマン

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