新着MVランキング:忘れらんねえよ首位獲得 『ヤニねこ』のメタ的な世界観、清々しい後味が残る秀逸な映像
MV Chart Forcus
毎週更新される「YouTube Music Charts」ウィークリー ミュージック ビデオ ランキングより、MVをはじめとした音楽関連の新着動画から上位10作品/楽曲を取り上げ、ランキング化&レビューしていく連載「MV Chart Focus」。8月14日~8月20日のウィークリー新着のTOP10は以下の通り(※1)。
1位:忘れらんねえよ「なんもねえ」MV
2位:M!LK「アイドルパワー」from『CDTVライブ!ライブ!』
3位:星野源「好き」MV
4位:iLiFE!「アイドルライフメガパックMV
5位:EBiDAN(恵比寿学園男子部)「Yes! 東京」MV おのおののネームver.
6位:SixTONES「マイオンリー」Dance Performance Only ver.
7位:KO1KEYZ「KO1KEYZ」MV
8位:TOMORROW X TOGETHER「セツナハナビ (Setsuna Hanabi)」MV
9位:BIGBANG「BiiiG」MV
10位:超特急「ガチ夢中!」from『DayDay. SUPER LIVE 2026』
今回取り上げるのは、忘れらんねえよの「なんもねえ」のMV。楽曲は現在SNSなどで話題のTVアニメ『ヤニねこ』(TOKYO MXほか)のオープニングテーマとしてオンエア中。原作ファンでもあるボーカル/ギターの柴田隆浩が作品のために書き下ろした。往年の青春パンク調のサウンドと、〈なんもねえ〉と繰り返し自虐しながらも必死にもがく姿を綴った歌詞に、「元気が出る」「救われた」との声が多く寄せられており、8月20日発表の「オリコン週間ストリーミング急上昇ランキング」でも上昇率43.7%を記録し、1位を獲得(オリコン調べ/※2)。アニメのオープニング曲としてインパクトがあるのはもちろん、バンドとしても代名詞となる1曲が誕生したかたちだ。
そんな本作のMVは、一言で言えばバンドの演奏シーンとアニメの世界観がクロスオーバーするハイブリッドな仕上がり。ギターをかき鳴らしながら熱唱する柴田の周囲で、主人公のヤニねこらがアニメさながらの怠惰でやさぐれた姿を披露しつつ、終始楽しそうに集う様子を活写している。
冒頭からタバコの紙箱を逆さにして入っていないことを知るや、向かいの男性に「1本くれ」とばかりに手を差し出すヤニねこ。演じているのは『AnimeJapan 2026』でヤニねこのコスプレが話題となった赤猫座ちこだ。一方、そのやりとりを隣で見つめるスキンヘッドの男性もアニメに登場する大家そっくり。こちらは実際に大家役を務める稲田徹が扮している。ほかにも、木村拓監督や原作者のにゃんにゃんファクトリーらアニメと関わりのある人物が大挙出演しているのもポイントだ(ついでに、かつて忘れらんねえよがアニメ主題歌を手がけた『カイジ』シリーズの登場人物っぽいキャラもいる)。
『ヤニねこ』は、人間と獣人が共存する世界で、万年金欠で汚部屋に暮らすヤニカスの主人公・ヤニねこを中心に、同じアパートに集うろくでなしたちの自堕落な日々を描いたブラックコメディ。アニメと世界観を同じくするMVでも、随所にそんな日常の風景が盛り込まれている。酔っ払って寝転がってみたり、暴れてみたり、ギャンブルに興じてみたり。加えて、虹色のキラキラで表現された嘔吐シーンや、ぶちまけたタバコがあるブツに刺さり悲しみにくれるシーンなど、アニメで描かれたエピソードの再現的な場面も散りばめられている。また映像が後半にさしかかるに従い、徐々に画角が引いていき、部屋に集う人々の全体像が見えてくる構成も、楽曲の開放感を表現しているように思う。
ラスト、画面が引ききった後に、このMVを観ているもう一人の存在がいたことが明かされる。スナック風のセットの中でひとりグラスを傾ける女性は、ヤニねこ役の声優·夏吉ゆうこ。しんみりした後に我に返り、「ニャーはなにも悪いことしてないのに……!」のおなじみのセリフで幕を閉じる。自身が主演するアニメのオープニングテーマのMVを眺めている。そんなメタ的な面白さもユニークだ。
上手くいかなくても、生き方を否定されても自然体に笑って過ごせる場所がある。登場人物はクズばかりなのに、なぜか清々しい後味が残るのはアニメと同様だ。監督は過去にいくつも忘れらんねえよのMVを制作してきた加藤マニが担当。バンドに対する理解度と、アニメとの親和性が高次元で融合した作品と言えよう。
※1:https://charts.youtube.com/charts/TopVideos/jp/weekly
※2:https://www.oricon.co.jp/news/2474943/full/


























