柴咲コウ、新作EP『泡沫』に宿る“調和”の表現 音楽と社会活動、その先にあるもの

柴咲コウから新作EP『泡沫』が届けられた。俳優として唯一無二の存在感を示すと同時に、今年5月に「楽しいから、はじめよう」をテーマにしたフェス『サステナビューティーフェス』をプロデュースするなど、活動の場を広げ続けている柴咲。11月7日からはじまる『KO SHIBASAKI LIVE TOUR 2026 ACTOR'S THE BEST 〜泡沫〜 presented by「アサヒ ゴールド」 』の世界観とリンクしている楽曲「泡沫」は、和の情緒を反映したバラードナンバー。古い言葉を交えた歌詞、独特の節回しを交えた歌唱など、シンガー・柴咲コウの魅力が色濃く反映された楽曲に仕上がっている。
エンターテインメントのど真ん中で活躍しながら、調和をテーマにした社会活動を継続している柴咲コウ。EP『泡沫』を中心にしながら、社会との関わりと彼女自身の表現の連なりについて語ってもらった。(森朋之)
“楽しい”がベースであってほしいーー『サステナビューティーフェス』に込めた願い

ーーまずは今年5月に行われた『サステナビューティーフェス』のことから。音楽ライブに加え、サステナブルな選択につながるコンテンツを楽しめるというフェスでしたが、どういう経緯で立ち上がったのでしょうか?
柴咲コウ(以下、柴咲):以前から「サステナビューティープロジェクト」として、いろいろな企業とコラボレーションしたモノ作りを行っています。コロナ禍を経て、みんなが模索しながら生きているなかで、真の美しさや生き方、環境と自分の在り方だったり、心と身体のバランスを体感できる場を作りたいと思い始めました。ありがたいことに私はずっと音楽をやらせていただいているので、音楽をメインにしたフェスがいちばんいいよねというところから『サステナビューティーフェス』につながりました。
ーーフェスのテーマは「楽しいから、はじめよう」。
柴咲:「“楽しい”というところからはじめよう」と「“楽しい”、だからはじめよう」という二つの意味があるんですが、とにかく“楽しい”ではじまるものって強いと思うんですよ。いいきっかけになるし、継続できるし。私も楽しくないとイヤなんです(笑)。ガマンを求められるようなシチュエーションを呼び込みたくないし、楽しいというところからではないと気持ちが続かないので。
ーーサステナブル、持続可能な社会というテーマには“ガマンしよう”みたいなイメージもあるような気がします。
柴咲:そうなんですよね。私は子供の頃から環境のことに興味があって。「環境と人間のバランスが上手くいってないな」みたいなことを幼心に感じていたし、「こうしなきゃダメだ」「これをやめないと」みたいな感じになった時期もあったんです。でも、そうやって自分を責めてもダメで。ちょっと哲学的な話かもしれないけど、自分自身が楽しくて、自分を愛せていないと他の人を助け続けることはできないんですよ。そう考えるとやっぱりガマンではなく、“楽しい”がベースであってほしいなって。音楽フェスはエネルギーをチャージして、明日からがんばろうという活力になる場でもあるから、会場で「これはダメ」「あれはダメ」って言われたらイヤだと思うんですよね。でも、自然に(サステナブルに関する情報などを)学べる機会はあっていいだろうし、そのバランスは考えていました。その場だけで終わってしまうのも良くないので、たとえば会場で出たゴミの量だったり、循環の方法などをレポートにまとめて。それらを指標にしながら、次につなげられたらいいなと思っています。

ーー柴咲さんがレトロワグラース(調和のとれた暮らしのために、衣食住製品の企画・開発を行う企業)を起業したのが2016年。今年で10年になりますが、これまでの活動が結実しつつあるのかもしれないですね。
柴咲:もちろんトライ&エラーの連続なんですけどね。「こうじゃなくちゃいけない」と決まったものはなくて、形や種類、場所を変えながら活動してきて。その集大成であり、新たな試みでもあるのがフェスなんだと思います。人が集まる場所を作る、その第一歩を踏み出せたのは大きいし、充実感のある10年目ですね。私が大事にしているのは、成長や発展ではなくて、調和やバランス。その初心は忘れないようにしたいです。
ーー11月からは全国ツアー『KO SHIBASAKI LIVE TOUR 2026 ACTOR'S THE BEST 〜泡沫〜 presented by「アサヒ ゴールド」 』がスタート。“ACTOR’S THE BEST”を掲げたツアーは4回目ですね。
柴咲:2023年から始まって、2024年の“響宴”、2025年の“邂逅”、今年の“泡沫”。特にこの3本のツアーでひとつの流れとして揃うのかなというところもあります。これも私の感覚なんですけど、眠っているときに見る夢と起きているときの現実の差がどんどん無くなっている気がして。物質的な世界は壮大なイリュージョンかもしれないし、この世で生きていること自体が“泡沫”だなって。今回のツアーも“どっちが幻でどっちが現実?”みたいな演出も考えていて、没入感を味わってもらえると思います。
ーー『ACTOR’S THE BEST』は、柴咲さんが俳優として関わってきた映像作品の楽曲を歌うライブ。柴咲さんは『ACTOR’S THE BEST』に対してどんな意義を見出しているんでしょうか?
柴咲:お芝居をしている人が出演した映像作品の曲を歌うのは、どこか依り代(神霊が降臨し、宿るための対象物や場所)のようなところがある気がして。肉体を通して生まれてくる表現なので、もちろん演じている部分もあるんですよ。100%自分の意思ではなくて、いい意味で“そうさせられている”ところもあるのが面白いのかなと。演劇的な要素が垣間見えるのも、私らしいオリジナリティなのかなと思っています。
もう一つは、みんなが知ってくれている曲の強さですよね。もちろんマニアックに作った曲も聴いてほしいんですが、よく知られている曲が生み出す一体感ってあるじゃないですか。私が出演してきた映像作品には素晴らしい楽曲が共にあるので、それはしっかりお届けしたいなと。



















