C&K、初見のライブ映像で目撃した“感動の方程式” 超一流のエンタメ精神と19年にわたり愛され続ける理由

「C&Kのライブを観たことない人に、一度観てみてほしい」
突然、C&Kのレーベルスタッフから言われた一言だった。最近レーベルに入社したという、熱意溢れる20代の女性スタッフ。真面目で一生懸命、でも不器用なところもあって、まるで昔の自分を見ているみたいだ。そんな彼女はこの会社に入って初めてC&Kのライブを観て、「自分が担当する商品だから」みたいな事情は一切抜きに、音楽を愛する者として心底感動したらしい。「歌もダンスも笑いも演出もてんこもりで、エンタメ性がすごくて」。音楽ライブとして新たな地平が広がっているC&Kの世界に足を一歩踏み入れて、感動を味わってみてほしい、という話だった。
壮大な演出と謎キャラが同居する独自の世界
私は毎年、年間100日以上音楽のライブ現場に足を運んでいるが、C&Kのライブは未体験だった。また年間100本以上のアーティストインタビューを行っているが、C&Kにインタビューをしたこともない。関わらせてもらっているミュージシャンの何人かが「C&Kのライブはやばい」とリスペクトを語っているのを聞いて気になってはいたものの、正直に言って、C&Kに関する知識はほぼ白紙状態だ。
そうして彼女に言われるまま、私は『CK無謀な挑戦城!!火攻め、水攻め、ひょうきん攻め!! in 大阪城ホール』と題したBlu-rayを再生した。これは2026年4月26日に行われた、C&Kにとって初の大阪城ホール公演を映像作品化したものらしい。
映像は、陣貝の音が鳴り始めると同時に会場が暗転するところから始まった。そして冒頭から、大阪城の写真をバックに「時は江戸時代のていニ0ニ六年」という文字が載ったものがスクリーンに映し出される。「江戸時代のていニ0ニ六年」? なんとも雑な設定だ。それに相反して、7人の大人ダンサーたちに、さらには10人以上の旗を持ったキッズダンサーも登場し、ど頭から炎がバンバン上がるなど、非常に派手で壮大なオープニングが展開されていく。
しかし、そこでまたあるものが目に入る。「なんこれ?」。おにぎりみたいなキャラクターがステージにいるのだ。しかも、そいつの顔が雑。雑すぎる。利き手とは違う手で目を瞑りながら描いたみたいな線でできている。『ちいかわ』の世界に出てきそうなユルさだが、同じ世界に入れたらちいかわはびっくりしてブッ倒れるだろうし、ナガノ先生からは謝罪を要求されそうだ。調べてみたら、これは「しいけさん」というC&Kの公式キャラクターらしい。しかも、メンバーであるCLIEVYが描き下ろしたものだとわかった。「なんでこれが?」。おにぎりなのか、はんぺんなのか、いまだに正体はよくわかっていない。
いよいよ姿を現したC&Kは、何度も自分たちのことを「19年目の期待の新人」と紹介している。音楽業界において“新人”と言っていいのは、だいたいデビュー5年目以内くらいだろう。サラリーマンならば、40歳を過ぎてもなお「新人です!」と胸張って言っている人は、人事評価も出世も諦めて潔く開き直った窓際社員くらいだ。もしくは、自らあえてバカな振りができる優秀な社員の可能性もあるかもしれない。そんなことを考えていたら、MCでCLIEVYの口から「俺たち、プロみたいなライブはできないけど」という言葉が発せられた。ああ、この言い方は上司からも部下からも慕われている優秀な社員タイプじゃないか。
C&Kが愛され続ける理由、“おふざけ”の中で光るプロの実力
ライブの中盤以降、それを決定づける証拠のようなシーンが次々と起こる。最初に大きく驚いたのが「みかんハート」。叶わない恋がテーマのバラードだが、CLIEVYが歌うサビのメロディラインはあまりにキーが高く、女性でも届かないくらいだ。それをすんなりと美しく歌い上げる。しかもCLIEVYのハイトーンと、KEENの中音域の歌声というふたりの実力が合わさると、女性と男性など複数人の心情が交差する描写も、大切な人の幸せを想う前向きな気持ちと心の痛みなど多面的な感情の表現も、可能にしてしまう。
その後も、チープなちょんまげのかつらを被った時代劇風の映像が流れたり、『24時間テレビ』さながらの演出があったり、かっこいいMCでキメて楽曲に入ると歌詞を忘れているというボケを挟んだり、とにかくおふざけのオンパレード。しかし、「ふざけた中のシリアスなメッセージ!」と、CLIEVYは決め台詞のように何度も叫んでいる。時代劇風の映像の中では「文明は先へ先へと進んでおる。されど、それに人の心がついていかねば、それはただの空虚じゃ」などと、社会風刺や政治批判とも思える言葉をさらりと忍びこませてくる。「I.M.A」という曲では、今治タオルをテーマにした一見意味などなさそうな言葉をリズミカルに聴かせて、オーディエンスにタオルを振り回させるが、ヴァースには〈皆がやるときは あえてやらない/忘れてる頃に あえてやりたい/これがCK STYLE 捻くれてたい〉、〈後輩に抜かれ 時代に弾かれ/それでも やめないメンタリティー〉と自分たちの宣言や本音を溶け込ませている。「ふざけた中のシリアスなメッセージ!」――ただのエンタメでは終わらせない。そんな強い信念がメラメラと燃え上がっている。

そして映像を観進めていると、MCの言葉から信じがたい事実を知った。C&Kはこの日、京都・舞鶴で行われた音楽フェス『MAIZURU PLAYBACK FES. 2026』に出演してから、ここ大阪城ホールでワンマンライブを行っているそうだ。朝一でフェスに出て、大阪城に入ってリハーサルをやって、今こうして本番を迎えているという。大阪城ホールでワンマンをやる当日の朝にフェスに出演するなんて、音楽業界のスケジュールの組み方としてはありえない。これは特典映像にあるドキュメンタリーを観てわかったことだが、お世話になっているフェス主催者から出演のオファーを受けて、偶然にもワンマンと同日だったため泣く泣く断ったものの、「ヘリコプターとかないといけないですねー」という断り文句に対して主催者が本当にヘリコプターを用意したらしく、その漢気に応えるべく出演を決意したという経緯だった。ほとんどのアーティストやマネージャーなら、それでも「ごめんなさい」と言って断るところだろう。C&Kは、お世話になった人や味方でいてくれる人たちの、一人ひとりの気持ちを大切にしているということがわかるシーンだった。だからこそ、19年も音楽活動を続けることができて、こうして大阪城ホールを埋められるほどの数のファンから愛されているのだろう。

しかもそんなハードな1日をサバイブした終盤に、ふたりは吊るされながら宙に舞った。と思ったら、吊るされたまま前転した。もちろん、その状態で歌っている。凄まじい体力だ。プロというほかない。40代になってもそれほどの体力を維持できるC&K流のトレーニングと食事法を映像に収めてリリースしてほしい。買います。























